神奈川県立横須賀高校ラグビー部
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『半年間の総決算』 関東大会戦記
2011/06/13
5年ぶり7回目の関東大会。この回数、実は参加28校の中で最小出場回数だ。開会式には国学院久我山や日川、流通経済大柏や茗溪学園など、いつもテレビでしか見ることのできない全国区チームとともに並ぶ。そんななんとも幸せな環境で掲げた目標はブロック優勝。実力別トーナメント制が引かれてから約30年、過去2回はFブロックとGブロックだったので、今回のEブロックは過去最高レベルのトーナメントとなる。
初戦の相手は昨年度茨城チャンピオンの常総学院。スカウトにより関東エリアからエリート選手をごっそりと獲得しており、キャプテンが横須賀ラグビースクール出身というように、神奈川出身選手も実に多い。そんな強豪への挑戦となるが、相手に合わせることなく、この大会出場を勝ち取った横高らしいラグビーで挑むだけだ。
11日土曜日、朝から期待通りの雨、いや豪雨。これほどの大雨はなかなか経験できない。ウォームアップからハンドリングエラーが続出。ボールを動かしたら負け。まさに横高の強みでもあるモールが生きる好環境。
10:00 キックオフ。
これも実力なのか。あれほど試合前に意識しているのに、ディシプリンを欠いたペナルティーを続けて自滅。先制トライを許す。横高のモールは30m級のドライブを見せるなど、落ち着けば試合を支配できる感触は掴んでいる。ところが相手の強みもモール。これほどモールを組まれたことも押されたことも県内ではまずなかった。エリアもボール支配率も一進一退の攻防。ワントライ返して7-7で前半を終えた。
「中盤でもっとキックを蹴ること」「ハーフ団へのDFを厚くすること」「相手にモールを組ませない」ことを確認し、後半開始。ところが、3つ目の課題「モールを組ませない」が果たせず、しつこくモール勝負を仕掛けてくる常総に劣勢を強いられた。意識しても倒せず組まれる。右に左に巧みにスネークするモールに毎度20mはゲインされ、粘れずに失トライ。再びリードを許した。反撃に出ようにも、強みのモールが後半はなかなか組ませてもらえない。それでもDFで前へ前へとエリアを進め、ついに逆転トライ。14-12とリードを奪った。その後は横高が敵陣に居座り続け、再三のチャンスを得たが追加得点できず。
そして試合も終盤、常総学院がついに最終兵器を出した。通称15人モール(実際は12人程度)。もとより「うちがモールで負けるわけがない」と、モールDF練習はほとんどやったことがない。12人が縦長にスネークするモールに抵抗できずに後退。ペナルティーや組み直しなどを数回はさみつつだが、結果としては50m近くを押されて痛恨の逆転トライ(14-17)。試合時間残り1分の悲劇となった。リスタートキックオフをタッチに蹴りだされ、横高のブロック優勝という目標はついえてしまった。
12日日曜日、雨雲は行き去り、朝から時折日差しのさす夏日。熱帯の如く湿度は高い。前日の悪夢とついえた目標のダメージは残るが、勝っても負けても稲垣組の関東大会はこの1試合で終わる。発足以来磨いてきたスタイルの総決算と位置づけ、FWBKともに今まで習得したすべてをこの試合に出し切ることを誓って臨んだ。
相手は埼玉3位の慶應志木高校。大会直前の練習試合でも日大高に完勝(トライ数4-0)している実力チームだ。どこで聞いても「強いですよ」と前評判は高く、前日は保善のパワーに屈したものに、バランスよく攻めるスタイルからは慶應らしいスマートさを感じた。
12:00 キックオフ
開始早々のキック処理ミスにつけ入られ、いきなり「0-3」のビハインドとなった。いつもならここで焦りが出て、自滅していく展開。しかしこの日の横高は、自信に満ち溢れた試合運びを成し遂げた。
FWで圧力をかけ、1ヶ月ぶりにケガが癒えたリョウヘイがサイドをつく。さらにFWが圧力をかけると、BKが何かが解き放たれたように日ごろの練習の成果を発揮する。ヒロトの冷静で正確なプレー、ケンタの攻守ともに群を抜くインパクトプレー、そしてダイキの(過去最高に)正確でスケールの大きなキックとラン。
モールやスクラムで相手の工夫にところどころストレスは受けるが、自信漲るDFとアタックで相手を圧倒。「FWで圧力をかけ、BKで仕留めきる」という、掲げたテーマ通りの「総決算」プレーで試合を完全支配。「41-3」という大差で強豪・慶應志木を退けた。
久我山や茗溪といった全国区と並んだ開会式の空気、まるで横高と戦っているかの様な錯覚と嫌な支配力に屈した常総戦、モールを軸としつつ知性とバランスを強みとする慶應志木に、まさにモールと知性とバランスで完勝した慶應志木戦。本当に素晴らしい経験となった。稲垣組前半の総決算と位置づけた試合で、この半年間のすべてを表現することができた。
タイチ
『初戦は個人的に絶対負けたくない試合でした。常総には中学の時のチームメイトが沢山いて、しかもトイメンがそうだったのでこいつにだけは負けたくありませんでした。結果試合で負けて本当に悔しかったです。次の日はもう切り替えていこうと思いました。やっぱり大きな大会で勝つのは気持ちよかったです。
部員の皆、今までついてきてくれてありがとう!こんな良い仲間に囲まれて本当に良かった。そしてあと半年楽しい事より辛い事の方が多いかもしれないけど、一緒に花園目指そう!
またOBの方々や保護者の方々や同級生の皆の応援があったからここまで来れたんだと思います。稲垣組はこれからも進化していくので、応援よろしくお願いします。』
ショウヘイ
『まずはみんなお疲れ様でした。3年にとっては最後の関東大会。その関東大会という大舞台で勝利を収めれた事はとても良かったと思う。本当にありがとう。反省もある。2試合を通してペナルティーが多すぎることだ。これは一人一人の意識で変えられる事だから、すぐに改善していこう。』
ケンタ
『充実した3日間でした。自信のあったものが通じなかったり、いつもできていることができなかったり、大舞台で初めてわかる課題も見つかりました。何度も合わせてきたサインプレーがやっと綺麗にきまったり、試合中に修正できる様になってきたりと、この関東大会で成長した事も多くありました。
個人的には他の県の代表を見て改めて、上には上がいる。と思いました。どことなく諦めた雰囲気が漂う言葉ですが、自分はとてもわくわくする事だと思っています。強くなった、と思っていたらもっと強いやつがいる。うまいやつがいる。とてもやりがいがあると思います。少しでも上を目指して、これからも頑張っていきたいです。
最後に、こんな素晴らしい期間を過ごさせてくれたすべての方たちに感謝したいです。ありがとうございました。』
ダイキ
『一日目は関東予選と同じような負け方をして悔しかったし、つまらない試合でした。二日目は先制されても落ち着いていられたし練習してきたサインプレーも成功したのでよかったです。楽しい試合でした。 初めての関東大会で花園レベルの相手と戦えてよかったです。』
カズヤ
『初のスタメンに選ばれ、うれしい反面緊張も大きかったけど、とにかく自分はラインアウトスローで選ばれたのでそこだけは絶対にミスしないようにと思ってました。しかし初戦ではスローはうまくいかず、タックルも入れずにペナルティもしてしまい悔しい結果に終わりましたが、2回戦ではスローもフィールドプレーもうまくいき、チームに貢献できました。まだモールの身のこなしは下手だけどたくさん練習して来年も関東に行きたいです!』
OB会から寄贈してもらったアップTシャツ。胸にはチームエンブレム、背中には坂東武者の歌詞がプリントされています。
至福の春が終わり、夏が始まる。3年生にとっては、あっという間に過ぎ去る季節。これまでの数倍の速度で時は流れる。次のノーサイドは、稲垣組引退のホイッスルとなる。熊坂組最後の日の光景のように、涙を流し、すべての思い出と戦友たちが人生の宝物となる。楽しみの季節からドラマの季節へ。レギュラーの座をすぐに脅かすに違いない1年生たちが加わり、稲垣組にとっての最後の挑戦が始まる。
初戦の相手は昨年度茨城チャンピオンの常総学院。スカウトにより関東エリアからエリート選手をごっそりと獲得しており、キャプテンが横須賀ラグビースクール出身というように、神奈川出身選手も実に多い。そんな強豪への挑戦となるが、相手に合わせることなく、この大会出場を勝ち取った横高らしいラグビーで挑むだけだ。
11日土曜日、朝から期待通りの雨、いや豪雨。これほどの大雨はなかなか経験できない。ウォームアップからハンドリングエラーが続出。ボールを動かしたら負け。まさに横高の強みでもあるモールが生きる好環境。
10:00 キックオフ。
これも実力なのか。あれほど試合前に意識しているのに、ディシプリンを欠いたペナルティーを続けて自滅。先制トライを許す。横高のモールは30m級のドライブを見せるなど、落ち着けば試合を支配できる感触は掴んでいる。ところが相手の強みもモール。これほどモールを組まれたことも押されたことも県内ではまずなかった。エリアもボール支配率も一進一退の攻防。ワントライ返して7-7で前半を終えた。
「中盤でもっとキックを蹴ること」「ハーフ団へのDFを厚くすること」「相手にモールを組ませない」ことを確認し、後半開始。ところが、3つ目の課題「モールを組ませない」が果たせず、しつこくモール勝負を仕掛けてくる常総に劣勢を強いられた。意識しても倒せず組まれる。右に左に巧みにスネークするモールに毎度20mはゲインされ、粘れずに失トライ。再びリードを許した。反撃に出ようにも、強みのモールが後半はなかなか組ませてもらえない。それでもDFで前へ前へとエリアを進め、ついに逆転トライ。14-12とリードを奪った。その後は横高が敵陣に居座り続け、再三のチャンスを得たが追加得点できず。
そして試合も終盤、常総学院がついに最終兵器を出した。通称15人モール(実際は12人程度)。もとより「うちがモールで負けるわけがない」と、モールDF練習はほとんどやったことがない。12人が縦長にスネークするモールに抵抗できずに後退。ペナルティーや組み直しなどを数回はさみつつだが、結果としては50m近くを押されて痛恨の逆転トライ(14-17)。試合時間残り1分の悲劇となった。リスタートキックオフをタッチに蹴りだされ、横高のブロック優勝という目標はついえてしまった。
12日日曜日、雨雲は行き去り、朝から時折日差しのさす夏日。熱帯の如く湿度は高い。前日の悪夢とついえた目標のダメージは残るが、勝っても負けても稲垣組の関東大会はこの1試合で終わる。発足以来磨いてきたスタイルの総決算と位置づけ、FWBKともに今まで習得したすべてをこの試合に出し切ることを誓って臨んだ。
相手は埼玉3位の慶應志木高校。大会直前の練習試合でも日大高に完勝(トライ数4-0)している実力チームだ。どこで聞いても「強いですよ」と前評判は高く、前日は保善のパワーに屈したものに、バランスよく攻めるスタイルからは慶應らしいスマートさを感じた。
12:00 キックオフ
開始早々のキック処理ミスにつけ入られ、いきなり「0-3」のビハインドとなった。いつもならここで焦りが出て、自滅していく展開。しかしこの日の横高は、自信に満ち溢れた試合運びを成し遂げた。
FWで圧力をかけ、1ヶ月ぶりにケガが癒えたリョウヘイがサイドをつく。さらにFWが圧力をかけると、BKが何かが解き放たれたように日ごろの練習の成果を発揮する。ヒロトの冷静で正確なプレー、ケンタの攻守ともに群を抜くインパクトプレー、そしてダイキの(過去最高に)正確でスケールの大きなキックとラン。
モールやスクラムで相手の工夫にところどころストレスは受けるが、自信漲るDFとアタックで相手を圧倒。「FWで圧力をかけ、BKで仕留めきる」という、掲げたテーマ通りの「総決算」プレーで試合を完全支配。「41-3」という大差で強豪・慶應志木を退けた。
久我山や茗溪といった全国区と並んだ開会式の空気、まるで横高と戦っているかの様な錯覚と嫌な支配力に屈した常総戦、モールを軸としつつ知性とバランスを強みとする慶應志木に、まさにモールと知性とバランスで完勝した慶應志木戦。本当に素晴らしい経験となった。稲垣組前半の総決算と位置づけた試合で、この半年間のすべてを表現することができた。
タイチ
『初戦は個人的に絶対負けたくない試合でした。常総には中学の時のチームメイトが沢山いて、しかもトイメンがそうだったのでこいつにだけは負けたくありませんでした。結果試合で負けて本当に悔しかったです。次の日はもう切り替えていこうと思いました。やっぱり大きな大会で勝つのは気持ちよかったです。
部員の皆、今までついてきてくれてありがとう!こんな良い仲間に囲まれて本当に良かった。そしてあと半年楽しい事より辛い事の方が多いかもしれないけど、一緒に花園目指そう!
またOBの方々や保護者の方々や同級生の皆の応援があったからここまで来れたんだと思います。稲垣組はこれからも進化していくので、応援よろしくお願いします。』
ショウヘイ
『まずはみんなお疲れ様でした。3年にとっては最後の関東大会。その関東大会という大舞台で勝利を収めれた事はとても良かったと思う。本当にありがとう。反省もある。2試合を通してペナルティーが多すぎることだ。これは一人一人の意識で変えられる事だから、すぐに改善していこう。』
ケンタ
『充実した3日間でした。自信のあったものが通じなかったり、いつもできていることができなかったり、大舞台で初めてわかる課題も見つかりました。何度も合わせてきたサインプレーがやっと綺麗にきまったり、試合中に修正できる様になってきたりと、この関東大会で成長した事も多くありました。
個人的には他の県の代表を見て改めて、上には上がいる。と思いました。どことなく諦めた雰囲気が漂う言葉ですが、自分はとてもわくわくする事だと思っています。強くなった、と思っていたらもっと強いやつがいる。うまいやつがいる。とてもやりがいがあると思います。少しでも上を目指して、これからも頑張っていきたいです。
最後に、こんな素晴らしい期間を過ごさせてくれたすべての方たちに感謝したいです。ありがとうございました。』
ダイキ
『一日目は関東予選と同じような負け方をして悔しかったし、つまらない試合でした。二日目は先制されても落ち着いていられたし練習してきたサインプレーも成功したのでよかったです。楽しい試合でした。 初めての関東大会で花園レベルの相手と戦えてよかったです。』
カズヤ
『初のスタメンに選ばれ、うれしい反面緊張も大きかったけど、とにかく自分はラインアウトスローで選ばれたのでそこだけは絶対にミスしないようにと思ってました。しかし初戦ではスローはうまくいかず、タックルも入れずにペナルティもしてしまい悔しい結果に終わりましたが、2回戦ではスローもフィールドプレーもうまくいき、チームに貢献できました。まだモールの身のこなしは下手だけどたくさん練習して来年も関東に行きたいです!』
OB会から寄贈してもらったアップTシャツ。胸にはチームエンブレム、背中には坂東武者の歌詞がプリントされています。
至福の春が終わり、夏が始まる。3年生にとっては、あっという間に過ぎ去る季節。これまでの数倍の速度で時は流れる。次のノーサイドは、稲垣組引退のホイッスルとなる。熊坂組最後の日の光景のように、涙を流し、すべての思い出と戦友たちが人生の宝物となる。楽しみの季節からドラマの季節へ。レギュラーの座をすぐに脅かすに違いない1年生たちが加わり、稲垣組にとっての最後の挑戦が始まる。
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