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vs日大高校 『この敗戦の意味』

2012/05/20

 どこまで記憶をさかのぼっても、かつてこれほど落胆するゲームの結末は思い出せない。「なぜこうなった?」「どうにかできなかったのか?」考える気力もすぐには湧いてこない。何より、現実を見つめたくない。
 関東大会予選3位決定戦、多重にわたって重要な意味を持つ試合は、前半を「24-5」で折り返しながらも、最終は「24-24」でトライ数負けという信じたくない結末となった。


 超えたかった。60年近い横高ラグビーの歴史で単独3位となったことはない。稲垣組の4位を、歴代の先輩方を、この岩田組で超えたかった。
 稲垣組の3位決定戦は日大に負け、岩田組新人戦も日大に負けていた。3度目の正直、しかも勝てば秋の花園予選では桐蔭側でなく慶應側に入る。打倒慶應、そして決勝で桐蔭へ。多重にわたって重要な試合、前半を24-5でリードして、法政戦のような大勝すら期待されたのに…。


 日大はやはり強かった。前週、慶應に後半途中までリードを奪った実力は本物。優れたBKアタック、煌びやかな才能、多彩な攻め手、客観的な地力は横高より上だった。それでも前半で24-5の差をつけた。
 後半、「絶対にやってはいけない」と何度も自分で言い聞かせたはずの無謀なゴール前カウンターでボールを奪われて失トライ。度重なるキックチャージで失トライ。ラインアウトの獲得率も急激に落ち、片手で持ち込んだボールはことごとく相手サイドにこぼれ落とした。ミスはすべて個人のメンタルが原因。日大スコアボードの点数は上がり続け、横高チームメンタルは下がり続けた。


 最後はラインDFに走れず(フローターがラック周辺に逃げ)、チェイスに走れず、絶望のインゴールを明け渡した。ラスト1分、簡単なはずの近場PGを外したところで万事休す。24-24、ただしトライ数は3-4。横高の歴史を、日大の壁を、超えることができなかった。


 原因を難しく考える必要はない。「メンタルが弱い」「走れない」の理由は、単純に「きつい練習を乗り越えていない」ことに尽きる。指導者の責任だ。4月は「1年生勧誘接待ラグビー」で限りあるグランド練習日をほぼ使い切った(これはやむを得ない)。
 ベスト8以降となる5月は、ケガ人を増やさず現時点の岩田組の力を発揮するための「調整」練習を繰り返した。メンタルの弱さも想定し、「ミスを恐れず」のフレーズを意識的に繰り返した。明和県央や本郷といった他県の強豪に圧勝したことで、意識は「現時点の力を発揮すること」に傾きすぎた。ケガと疲労のリスクを避け、つまり「試練」も「鍛錬」もなく、真の心の強さと走り抜ける体力を手にしていなかったのだ。上辺だけの強さを過信した、やはり指導者の責任だ。
 

 「ネセサリーロス」 清宮氏(現・ヤマハ監督)がサントリー監督時代に口にした言葉。チーム作りの上で「必要な敗戦」という意味だ。この日大戦の敗戦は、ネセサリーロスか。それとも惨めな大逆転劇か。それは秋の花園予選まで分からない。「あの日大戦がターニングポイントだった」「あの敗戦で変わった」と秋に胸を張れるか。この敗戦を意味づける練習が、明日から始まる。




月曜、大多数の選手の下半身が痙攣するほどの充実したトレーニングを久々に行った。下半身はほとんど攣っているのに、笑顔が溢れた。岩田組が抵抗者としてのリスタートをきった。

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