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関東大会ブロック優勝! 『報本反始』

2012/06/11

 稲垣組に続き2年連続となる関東大会。昨年は残念ながら?神奈川開催だったが、今年は茨城県鹿嶋市開催。校長先生に見送られてチームバスで移動し、立派なホテルで過ごす。ちょっとしたトップアスリート気分を味わえる。試合会場では、花園常連校らが顔をそろえ独特の空気ができあがる。その雰囲気を作る一員であることが、ちょっぴり誇らしい。すべての環境がこの上ない贅沢でこの上ない幸せだ。

 6月8日~10日、この幸せを支えてくれるすべての方々への感謝の気持ちを、関東大会に行けなかった神奈川の他校のライバルたちの気持ちを背負い、関東大会を戦った。
 関東予選の敗因を「走れないこと」に絞り、この3週間はとにかくフィジカル強化に取り組んだ。グランド練はほとんどコンタクトフィットネス。グランドが使えない曜日は延々と坂ダッシュで足腰と心肺機能を鍛えた。成果が出るのはまだ到底先だが、この関東大会本戦から「走り勝つ高速ラグビー」を目指した。


 初戦の相手は東京の古豪・大東大一高校。関東予選こそ5位に沈んだが、新人戦では東京高校に崖っぷちの逆転負け3位。その実力が評価され、春の全国選抜に出場している。「東京都最強FW」が各地で耳にする大東大一の代名詞。フロントは3人とも100㎏越え。スクラムでことごとくボールを取り返すと、驚異的な重さのピック&ゴーとサイドアタックで圧力をかけ、ペナルティーを得るとラインアウトモールでトライ。簡潔にして究極のラグビー。

 そんな大東大一に対して、こちらはとにかくテンポを上げてボールを動かし続ける対極のスタイルでフィットネス勝ちしたい。やるべきことは明確。・・・なはずだが、天に祈れど予報は外れてくれず、見事な雨(梅雨入り発表)。ボールを大きく動かして走り回りたい横高と、キックと超強力FWでねじ伏せたい大東大一。この雨はどれほど強がっても、横高にとっては勘弁してほしかった望まぬ雨だ。
 どれほど蹴るのか、どれほどパスを重ねるのか。この大会の試合時間は25分×2。「ゲーム中に判断して変更可」という余地を残して、「勇気を出して攻めよう」と、雨をほとんど考慮しない決断をした。ゲームコンセプトはJAPANと同じ4H「低く」「速く」「激しく」「走り勝つ」。


 試合は前半から横高のペース。ハイテンポの球出しと安定したラインDFで優位に立ち、前半終了時には「26-0」と大量リードを奪った。しかし大量リードが横高にとって危険なことは、日大戦で痛烈な傷を負って学習したこと。後半はその反省を生かしたいところだったが、「誰が悪いのかすら分からないくらいめちゃくちゃに押された」と試合後に口を揃えたように猛烈なスクラムでボールを奪われると、キック処理ミスも絡んで1トライを失ってしまった。
 それでも50分間を総じて見れば、FWが近場のDFでこの日は何度も我慢のタックルを続け、大東大一自慢のモールも策を施して完全封鎖。リョウヘイの速く安定した球捌きでジュンペー、ダイキらがトライを重ね、「初戦に全てを懸ける」と臨んだ大東大一戦を「38-7」と快勝することができた。

カズヤ
『大東一高はとにかくFWが強い。東京の強豪校もスクラムでターンオーバーされまくってる。何より去年の稲垣組よりもデカい奴らがたくさんいると聞いたとき、正直そんな奴らとやりあえるのか不安になりました。しかしチームのみんなはFWで勝つと言っていて自分にも自信が湧いてきました。
 そして当日、ファーストスクラムを組んだ瞬間のインパクト、その後の押し、全てにおいて今までのスクラムの中で圧倒的でした。この日はかなりの数のスクラムを組みましたが押し返すことはできず、1度だけ耐えるので精一杯でした。しかしフィールドプレーではFWが走り勝ち、ディフェンスしまくって勝つことができました。この一戦は横高の飛躍においてとても良い経験になったので今後に生かして行きたいです。』


 最大の山場とみていた大東大一戦を突破して迎えた二日目。相手は常総学院を破って決勝に進んだ佐野高校(栃木2位)。昭和51年の関東大会(東京開催)でも対戦しており、そのときは「14-9」で勝っている。同じ県立高校、監督は私の早稲田ラグビーの大先輩。エリート集う私立校ではなく、横高と同じような境遇だ。常総を5-0で破っているところを想像すると、きっと真面目でディフェンシブなチームだろう。
 ラグビーを甘くみてはならない。僅かな慢心も許されない。何度も痛い目に逢った教訓。勝っても負けても関東大会という幸せな時間が終わる。理想とするスタイルを炸裂させ、ゲームを、大会を、そしてラグビーを楽しみ尽くしたい。


 キックオフ。想定通り、アタックDFともに相手を圧倒できる気配はある。何度もラインブレイク。トライを取られる気配もない。スクラムもこの日は完全支配。なのに、スコアが動かない。嫌な停滞感が漂う。
  真面目にタックルを続ける佐野高校。最後の一歩が取りきれない。強引にゲームを動かしたいが、大胆になりきれずにキックで時間が潰れていく。仕留めきるタイミングのラインアウトが(レフリーと)合わない。フラストレーションが溜まる。

 そんな中、この日はタツヤが大爆発。ケンタ、ダイキ、マサシといったペネトレーターの陰に隠れがちだが、チームメイトだけが知っている実力をついに解放させた。ステップとスピードで佐野ラインDFをたびたび突き破ってロングゲインを重ねると、PRジュンやHOカズヤらFW陣がアグレッシブに走り回る。最後の最後まで佐野高校のひた向きなDFで粘られたが、「43-3」の大差でブロック優勝を決めることができた。

抜群のキレとバランス・タツヤ

HOカズヤ(上)PRジュン(下) 初戦は耐え、2戦目はよく走った。


 Fブロック優勝。これは、森上コーチの代のGブロック優勝、平成18年のFブロック3位を塗り替える横須賀高校史上最高の戦績だ。旧校歌(部歌)・坂東武者2番に「報本反始(意味=祖先の恩に報いること)」という歌詞がある。勝った代もあれば負けた代もある。恵まれた代、あがいた代、悩んだ代、大きな後悔を残した代、最後まで諦めなかったすべての先輩方からのバトンを受け取り、岩田組の今がある。報本反始の表現として、岩田組は立派に横高ラグビーの歴史を塗り替えることができた。

 
ケンタ(左)
最後の関東大会が終わりました。稲垣組の雪辱を晴らすために、横須賀の力を関東に知らしめる為に、とても大きな意義のある大会でした。目標であったブロック優勝ができ、大東一高戦ではFWの頼もしさを感じ、佐野高戦ではBKの確かな自信を得ることができました。秋への課題も残り、とても良い状態で終えることができたと思います。先生にも言われましたが、これからの日々はあっという間に過ぎてしまうと思います。「花園」へ向けて、少しの妥協もない日々を過ごしていきたいです。応援よろしくお願いします!
ダイキ(右)
『目標としていたブロック優勝を果たせてよかったです。みんなで頑張ってきた結果がひとまず形になってとても嬉しいです。また、他県のレベルの高い試合を見ることができたことは大きな収穫となったと思います。これを弾みとして、秋に向けさらに練習に励み、勝ちたいと思います。』

ジュンペー
『岩田組が発足して、関東学院との合同練習のアリアリADでどうしようもないくらいにやられて、慶応との練習試合もFWのせいで負けたと言われ、去年からのスタメンが多く残っているBKに比べてとても苦しい時間を過ごしてきました。そしてようやく関東大会で成果が出てきました。低く激しく刺さるタックル、捕まってもドライブをし続ける。そういった基礎の部分が大きく成長できたことを感じられました。この関東大会を大きな節目として、打倒桐蔭を目標に日々トレーニングをしていきたいです。』

 岩田組もいよいよ後半となった。これからの数か月は、3年生にとってはかつてない速さで流れていく。高校からラグビーを始めた選手にとっては、やっとラグビーが分かり力も抜け、吹っ切れたように飛躍する。経験者で構成された私立に比べて、ここからが横高ののびしろだ。
 勉強との両立も今まで以上に求められる。本気で打倒桐蔭から目をそらさず、言い訳なく受験勉強に取り組む。この数ヶ月、ゆとりや遊びといった余地はほとんど存在しない。だからこそ月日の価値、岩田組の価値は高まる。その後の人生を左右するほどの人間力と経験、自信が手に入るチャンスだ。決意と気概、根気と愚直さが必要な日々は、きっとかけがえのない一生の宝物となる。
 もちろん、ラグビーと受験勉強の両方に打ち込むことができるということは、実は大変幸せなことであるという事実も忘れてはならない。


多くの方から「横須賀いいラグビーするね!」と声をかけていただきました。実力を他県にアピールできた大会となりました。

ホテルの一室 「赤羽治療院」

遠征準備から多岐に渡る気配り、本当にお疲れ様でした。



 

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