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一次合宿 『ランパス100本がくれたもの』

2012/08/07

 一次合宿。と言っても学校規定で合宿は年に僅か4泊5日しかできない(菅平のみ)。他の強豪私立は10泊や20泊当たり前。そんな私立に負けじと横高ができることと言えば、今年も「合宿」と銘打った「通いの二部練」だ。ここは横須賀。避暑地でもないし天然芝のグランドでもない。猛暑日が続く中の一次合宿は、そんなコンディションに負けることなく、高い意識と気力の充実した合宿となった。
 
7月30日・31日、横高二部練
 関東大会以来となるチーム練習に着手。新しいシステムへの挑戦が始まった。


8月1日、vs明大中野高校
 明治大学八幡山グランドで、関東大会Eブロック優勝の明大中野高校と練習試合。しかしせっかく組んでもらったにも関わらずケガ人多数で、BKラインは関東大会スタメンがタツヤ一人というB状態。FWはヨウ(ケガ)とアサト(U17全国大会出場のため)を欠くものの何とか3年生中心。若いBKがどれだけ通用するかがカギとなったが、まだまだ実力不十分。前半は0-5で折り返すものの、後半さらに若い1年生BKを複数投入した箇所を連続で破られ、5-31という大敗を喫した。
 試合後の合同練習ではFWが自信をつける攻防を繰り広げたことからも、Aバックスの復帰とBバックスの成長が急務だ。


8月2日、関東学院合同練習、目標達成ワークショップ、フィールドテスト
 午前中はおなじみ関東学院との合同練習。Bバックスはこういう実戦形式を続けることで一歩ずつ階段を上っていくしかない。FWはこの日も自信を一歩深めることができた。練習後は一緒に栄養補給でミニファンクション。
両チームキャプテン。同志として戦いましょう。
 午後は関東学院コーチ石川安彦さん(株 フィールドオブドリームス)による「目標達成スキル」に関する講義。参加型ゲームやパワーポイント資料、そして自身の体験談(後悔談)などを通じて、目標を達成するために何を意識することが大切なのかをレクチャーしてもらった。かつて「日本ラグビー界に突如生まれた怪物」と騒がれた石川さんの栄光と挫折のポイントは何だったのか、気持ちのこもった話を伺うことができた。

   フィールドオブドリームスHP ⇒ http://www.fieldofdreams-jp.com/
 その後夕方は赤羽トレーナーによるフィールドテスト。瞬発力、持久力、俊敏性などの5種目の測定が行われ、意外な選手の意外な能力が明らかになった。

大学時代は2つ上のキャプテンでした。石川安彦さん。でかい・・・。

8月3日、横高二部練
 明大中野・関東学院との実戦で得た反省を克服するための練習。少しずつ描いたシステムが微調整され、菅平に向けた形が見え始めた。もちろん、夏らしくタフな練習となった。

陸上部木村先生(現役選手)によるスプリントトレーニング
 
8月4日、横須賀ラグビースクールと合同練習
 横須賀高校のいつものメニューで一緒にプレーしながら交流。最後はC対ラグビースクールの実戦練習。流石に力差は大きかったが、横高にとっても基礎プレーの精度を測るいい経験となった。横須賀RSの果敢なアタックは素晴らしかった。横須賀、横浜、藤沢のラグビースクールの3年生が「みんなで横高でやろうぜ!」と団結して受験に挑戦してくれたらありがたい。

 
8月5日、横高二部練
 7日間で13セッションという過酷な一次合宿もいよいよ最後の日。午前中は合宿の総まとめともいえるチームスキル、基本スキルの確認練習を行った。そして迎えた午後、合宿はやはり「強烈な記憶として刻まれるもの」で、達成感と感動を生むものでなきゃ。

わずかな日陰で熱中症対策
 『ランパス100本』。メニューとしてどうこうではなく、スキルアップどうこうでもなく、『ランパス100本』は美しいものになりうる。おそらく100年以上前のラグビーの先人たちとも、『ランパス100本』の話題なら時代を越えて対等に語り合える。20年以上前ならどこの高校もやっていたランパス。しかし近年は海外のドリルが輸入され、「意味ない、効率悪い」とランパスは絶滅危惧練習となってしまった。ハンドリング、フィットネス、サポート、あらゆる観点からも、確かに最新ドリルでランパスよりも効率的なものは無数に存在する。
 それでもランパスの価値は消えない。先の関東大会、Aブロック準決勝で桐蔭学園を破った日川高校の梶原監督に、まさにその日の夜に聴いてみた。「桐蔭に勝つにはどうしたらいいですか?」梶原監督は答えを3回繰り返した。「ランパス、ランパス、ランパスだよ」、それは「心を鍛える」ということだった(日川高校は夏の二部練の午前中はランパスしかやらないとか…)。

 『ランパス100本』は、「シボリ」や「拷問」にもなりうるが、「心の鍛錬」「チームワーク強化」「自信と達成感と素敵な思い出」にもなりうる。どちらに転ぶかは、選手の心構えと指導者の意志による。
岩田組の夏、一次合宿最後のメニューはそんな『ランパス100本』を「100本やって心を鍛えよう」とも「チームワーク、自信、達成感だ」とも説明することなく始まった。説明は「ランパスね」だけ。何本やるとも何のためにやるとも明確にせず。全ては選手の心に委ねた。どう感じ、何を思うかは選手に委ねられた。

 開始から30分が経過した頃、岩田組は明確な答えを出した。あちこちで笑い始めた。走っている最中も、3年生はほとんどはじけるような笑顔(2年生は必死さと強気さの漂う顔、1年生はもちろん悲壮感漂う顔…)。1時間半経過、笑顔が曇ることはない(ちょっと目はイってる)。「バテてんじゃねぇの~!」とお互いを煽り合う。「終わりが見えねぇぞ~オイ!」やっぱり笑っている。

 2時間経過、実は今90本であと10本で100本になることを知る。初めてゴールの存在を知る。盛り上がる。が、「ゴール不明」という非現実の夢を生きていた2時間から、「あと10本で終わる」という現実に立った瞬間、実は体が限界に近いことに気づいてしまったのか、急激にランニング速度が落ちる。

 ついに迎えた100本目は、全員で一つのボールを繋ぎ、最後はキャプテントライ。目的もゴールも示されなかった『ランパス100本』は、岩田組3年生が心の強さとチームワークの強固さを証明し、下級生にも多くの感覚と先輩への尊敬を残して終了した。




ケンタ
『もう一次合宿が終わってしまったのか、というのが率直な感想です。この期間自分は怪我でチームには迷惑をかけてしまいましたが、じゅんぺいを中心に三年生が盛り上げてくれていました。チームの和や雰囲気を前からずっと気にしていたのですが、やはり一番手っ取り早いのはきついことを共に乗り越えることなんだなと感じました。100本ランパスはもうしたくないですが…
 一次合宿を超え、チーム力も個人スキルも高まってきてるので、強豪校との試合が待つ菅平に登るのがとても楽しみです。』
 

『今年も一次合宿がやってきた。去年は途中で怪我してしまったので初めてとなる。明大中野との試合では情けない部分を露呈させてしまった。失意というより怒りの方が大きかった。ただまた1からやり直しだなと考えさせられた。
 そして練習を経て、最終日。最後のメニューはランパス。まさか2時間以上やるとは思わなかった。100本もやるとは思わなかった。きつかったけどなぜか楽しかったし自分もまわりも頭がおかしくなってた。でもラグビーをやる上で一番大切な部分だと思った。この合宿で精神的にひとまわりもふたまわりも成長できた。ついに最後の菅平合宿がやってくる。悔いが残らないように楽しみたいと思う。  』
 
ジュン
『今年の一次合宿はとにかく走りました。さらに明大中野、関東学院との合同練習ではFWとしてのプライドを持つことを改めて考えました。最後の100本ランパスも、「こんな練習横高しかしてないだろ!」と思い自信がつきました(笑)。この横高らしさで、菅平での二次合宿でさらにステップアップします!』
 
リホ
『みんな1次合宿お疲れ様でした!マネージャー的にもかなりハードでした。朝が早いだけでなく、さらにそれに暑さが加わるので体力的にもきつかったと思います。朝4:00起きで臨んだ明中戦、翌日の関東合同、みんなの顔にも疲れがにじみ出ていました。

過去最高の大忙し。フル稼働で走り回ったMG。ランパスを支えました。
 1次合宿最終日のランパスは、マネージャーもずっと走っていて、時間を忘れてしまう程でした。みんなきついなか、3年生が1番声を出して、ものすごい盛り上がりで、最後の健太のトライでは涙が出そうになりました。かなり辛い7日間でしたが、「こんなにきつい夏は今年で最後だ」と思うと、乗り越えることができ、充実した毎日を送ることができました。』

 
 9日からいよいよ菅平へ。大勝続きだった昨年とは異なり、今年は苦戦必至の強豪校との対戦が続く。盛岡工業、正智深谷、国学院栃木など全国区の強豪校相手にどれだけ戦えるか。菅平の神々しい自然に見守られ、幸せな5日間が始まる。


ランパス後はプールでクールダウン。学年対抗メドレーリレー。




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