神奈川県立横須賀高校ラグビー部
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岩田組最終試合 『感謝と愛情に包まれて』
2012/11/13
11月11日12時15分、麻溝競技場。薄暗い空にノーサイドの笛が響き渡り、岩田組の3年間の戦いが終わった。最終スコアは「12-38」。後半途中から、勝利の可能性は物理的に消滅していた。それでも最後の瞬間まで、「負け」の事実を受け入れられなかった。いや、試合後ですら。それほどまで、勝利を信じ切っての試合だった。数時間後、自宅でのわずかな仮眠。「あれは夢のはずだ」まだ受け入れられない。翌朝になってようやく「負けてしまった」事実を観念して受け入れた。
関東大会予選の準決勝以来、万全の4ヶ月だった。桐蔭学園を徹底的に分析し、桐蔭戦のためだけのアタックとDFに絞り込んだ。国学院栃木や深谷、東京高校など花園強豪校との練習試合で、桐蔭戦を想定した戦術に磨きをかけた。
ラスト15分の勝負のために、ランパス100本、坂ダッシュ100分など、尋常でないメニューも乗り越え、自信を裏付けした。フェーズが2分を超えた先の勝負のために、端から端まで延々と走ってはタックルバッグをなぎ倒す過酷なメニューもこなしてきた。
ベンチプレスだって、スタメン15人全員が100キロ以上を上げた。
チームドクターの高澤先生と赤羽トレーナーの最高のサポートで、最後の大会はメンバー25人をケガ人欠場ゼロの状態で組むことができた。
関東大会後に9月受験のために勉強専念の生活を送っていたWTB2人も見事合格してチームに合流し、正真正銘のベストメンバーが組めた。
ケンタという絶対的スキッパーがチーム全員の心を100%結束させ、私が何も指示しなくとも判断と行動ができる自律(自立)した集団となった。
愛される集団となった岩田組は、OBからも保護者からも学校の友人たちからも熱く応援してもらい、横須賀の地から遠いはずの競技場には、感動的なほどの大応援団が集まった。イングランドのテストマッチでの『スィング・ロー』の観客合唱のように、試合中にスタンドから何度も坂東武者の大合唱を起こしてくれた。
あとは選手が勝利を信じ込むことができるか。きっとそれだって、一人ひとりの心の中で「信」に至っていたはずだ。万事完璧。その横高をなぎ倒すほど、桐蔭は強かった。力負け、完敗と言わざるを得なかった。
徹底的にマークしたはずの相手ペネトレーターの破壊力は想像以上で、ときにダブルタックルだって跳ね飛ばされた。ラインDFは激しく勇敢に刺さり倒し続けた。しかし強烈FWの連続ピック&ゴーは問答無用の重さで前進を繰り返し、インゴールをこじ開けられた。桐蔭のビッグタックルを基点としたカウンターラックで、横高はマイボールを実に10回近くも奪われた。自慢のアタックが継続できなかった。
ケンタを筆頭に、桐蔭がラインにパスアウトしたなら猛烈なタックルで倒し続けた。ジュンペイやタツヤなどトライゲッターは、堂々の走りで桐蔭DFを引き裂き、トライラインを駆け抜けた。それでも、桐蔭のブレイクダウンとヒットは破格に強かった。
岩田組は、本当によく戦った。何度跳ね飛ばされても何度でも立ち上がり、感動的なほどタックルに刺さり続けた。熱く、清く、優しく、崇高でいて人間らしい情に満ち溢れたキャプテン・ケンタが率いる岩田組から、たくさんの感動と夢をもらった。それなのにハッピーエンドに導くことができず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。あれほど立派な3年生を勝たせてやれなかったのは、指導者の責任より他はない。
それなにの、試合後にこんな言葉を言ってくれた。
「絶対勝って花園に行って、松山先生はこんなにすごい先生なんだぞって、全国に知らしめたかった。松山先生に美味い酒を飲ませてやりたかった。」
2年半前の4月、ケンタたちと一緒に横高にやってきた。たくさんの夢と笑いと感動をもらい、指導者としてご褒美をもらってばかりだった。ハッピーエンドに導けなかったのに、最後に涙が止まらないような言葉まで与えてくれた。
横須賀高校ラグビー部岩田組、関東大会Fブロック優勝、花園予選3位。60年近いラグビー部史上最高の戦績を収めて引退。戦績だけでなく、歩んだ道のりや努力の日々に対して、どうか胸を張って引退してほしい。横高ラグビー部の伝統を立派に継承し、後輩たちに素敵な背中を残してくれた。胸を張って、人生の次のステージに進んでほしい。
拍手は鳴りやまなかった。試合から1時間以上経過した後でも、選手たちの周りには本当に多くの友人や家族が集まり、いつまでも取り囲んでいた。双方向の感謝と愛情が満ち溢れた空気に包まれた。それが命がけで戦い抜いた岩田組が手にした最高の評価だったのかもしれない。
岩田組を応援してくださった皆様、ラグビー部を支えてくださっているすべての皆様、本当にありがとうございました。翌朝から新体制「伊藤組」が始動しました。今後とも横高ラグビー部をよろしくお願い致します。
今回は私的な思いが中心の文章になりましたが、次の更新では「岩田組引退コメント」として、全員の言葉をアップさせてもらいます。
(追加)
日経新聞電子版に横須賀高校ラグビー部岩田組の花園予選前の姿が特集されています。
ぜひご覧ください!
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0700J_X01C12A1000000/
関東大会予選の準決勝以来、万全の4ヶ月だった。桐蔭学園を徹底的に分析し、桐蔭戦のためだけのアタックとDFに絞り込んだ。国学院栃木や深谷、東京高校など花園強豪校との練習試合で、桐蔭戦を想定した戦術に磨きをかけた。
ラスト15分の勝負のために、ランパス100本、坂ダッシュ100分など、尋常でないメニューも乗り越え、自信を裏付けした。フェーズが2分を超えた先の勝負のために、端から端まで延々と走ってはタックルバッグをなぎ倒す過酷なメニューもこなしてきた。
ベンチプレスだって、スタメン15人全員が100キロ以上を上げた。
チームドクターの高澤先生と赤羽トレーナーの最高のサポートで、最後の大会はメンバー25人をケガ人欠場ゼロの状態で組むことができた。
関東大会後に9月受験のために勉強専念の生活を送っていたWTB2人も見事合格してチームに合流し、正真正銘のベストメンバーが組めた。
ケンタという絶対的スキッパーがチーム全員の心を100%結束させ、私が何も指示しなくとも判断と行動ができる自律(自立)した集団となった。
愛される集団となった岩田組は、OBからも保護者からも学校の友人たちからも熱く応援してもらい、横須賀の地から遠いはずの競技場には、感動的なほどの大応援団が集まった。イングランドのテストマッチでの『スィング・ロー』の観客合唱のように、試合中にスタンドから何度も坂東武者の大合唱を起こしてくれた。
あとは選手が勝利を信じ込むことができるか。きっとそれだって、一人ひとりの心の中で「信」に至っていたはずだ。万事完璧。その横高をなぎ倒すほど、桐蔭は強かった。力負け、完敗と言わざるを得なかった。
徹底的にマークしたはずの相手ペネトレーターの破壊力は想像以上で、ときにダブルタックルだって跳ね飛ばされた。ラインDFは激しく勇敢に刺さり倒し続けた。しかし強烈FWの連続ピック&ゴーは問答無用の重さで前進を繰り返し、インゴールをこじ開けられた。桐蔭のビッグタックルを基点としたカウンターラックで、横高はマイボールを実に10回近くも奪われた。自慢のアタックが継続できなかった。
ケンタを筆頭に、桐蔭がラインにパスアウトしたなら猛烈なタックルで倒し続けた。ジュンペイやタツヤなどトライゲッターは、堂々の走りで桐蔭DFを引き裂き、トライラインを駆け抜けた。それでも、桐蔭のブレイクダウンとヒットは破格に強かった。
岩田組は、本当によく戦った。何度跳ね飛ばされても何度でも立ち上がり、感動的なほどタックルに刺さり続けた。熱く、清く、優しく、崇高でいて人間らしい情に満ち溢れたキャプテン・ケンタが率いる岩田組から、たくさんの感動と夢をもらった。それなのにハッピーエンドに導くことができず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。あれほど立派な3年生を勝たせてやれなかったのは、指導者の責任より他はない。
それなにの、試合後にこんな言葉を言ってくれた。
「絶対勝って花園に行って、松山先生はこんなにすごい先生なんだぞって、全国に知らしめたかった。松山先生に美味い酒を飲ませてやりたかった。」
2年半前の4月、ケンタたちと一緒に横高にやってきた。たくさんの夢と笑いと感動をもらい、指導者としてご褒美をもらってばかりだった。ハッピーエンドに導けなかったのに、最後に涙が止まらないような言葉まで与えてくれた。
横須賀高校ラグビー部岩田組、関東大会Fブロック優勝、花園予選3位。60年近いラグビー部史上最高の戦績を収めて引退。戦績だけでなく、歩んだ道のりや努力の日々に対して、どうか胸を張って引退してほしい。横高ラグビー部の伝統を立派に継承し、後輩たちに素敵な背中を残してくれた。胸を張って、人生の次のステージに進んでほしい。
拍手は鳴りやまなかった。試合から1時間以上経過した後でも、選手たちの周りには本当に多くの友人や家族が集まり、いつまでも取り囲んでいた。双方向の感謝と愛情が満ち溢れた空気に包まれた。それが命がけで戦い抜いた岩田組が手にした最高の評価だったのかもしれない。
岩田組を応援してくださった皆様、ラグビー部を支えてくださっているすべての皆様、本当にありがとうございました。翌朝から新体制「伊藤組」が始動しました。今後とも横高ラグビー部をよろしくお願い致します。
今回は私的な思いが中心の文章になりましたが、次の更新では「岩田組引退コメント」として、全員の言葉をアップさせてもらいます。
(追加)
日経新聞電子版に横須賀高校ラグビー部岩田組の花園予選前の姿が特集されています。
ぜひご覧ください!
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0700J_X01C12A1000000/
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