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春光学園交流 『人生の彩度』

2013/07/31

「ボランティア」という言葉がピンとこない。あくまで「交流」。人と人とが出会い、同じ空間を共有し、感じ合う。一方的な支援ではなく、ギブ感もテイク感もなく、ともに笑い、ともに楽しむ。7月22日~25日までの5日間、児童養護施設・春光学園とそんな素敵な交流ができた。

 話の発端は、神奈川県警本部少年育成課の横山警部補が飛び込み営業のように学校に来たことがきっかけ。たまたま職員室にいた生徒指導担当の私が対応した際に、虐待の増加や児童養護施設出身の子供が犯罪に巻き込まれやすいということ、そして、横山さんが検挙や逮捕ではなく教育や交流で町を守りたいということなどが、大きな熱意と共に伝えられた。
 そんな意義深い話ならぜひラグビー部でやらせていただきますということで、この企画が即決した。 
 事前の打ち合わせで春光学園の児山副園長から「ここにいるのは、だっこやおんぶなど、甘えたいときに甘えられる経験がなかった子どもたち。たくさんだっこして甘えさせて欲しい」と伺った。生まれた直後に親から手放られた子ども、激しい虐待の末に保護された子ども、その他様々な理由で集まった子どもたち。甘えたい年頃に甘えられない。教育心理学や脳科学の有名な解釈では、乳幼児期の甘え不足、スキンシップ不足は、その後形成される人格にはっきりと影響を与えると言われている。

「何を教えてほしい」ではなく「だっこやおんぶをたくさんしてやって欲しい」という学園の要望を受け、幼い子どもたちの「無意識」や「感覚」へのプラスの影響を交流のターゲットとして4日間の交流が始まった。
 45名の全部員が2日間ずつ、内容は宿題の手伝いから始まり、ソフトボール、公園遊び、ボール遊び、砂場遊び、自転車乗り、砂場遊びなど遊びのフルコースをご一緒させてもらった。
 
 最終日の最後の挨拶、「また来るよ」と言ってはいるが「今日でおしまい」の雰囲気が何となく伝わったのか、泣きべそかいて肩車から下りようとしない幼児がいた。4日間とも、春光学園から横須賀高校までの帰り道は、その日の園児についてのおしゃべりが、優しい顔でなされていた。心の通った素敵な交流だった。


ユウヤ
『僕は、もともと小さい子と接するのが苦手だったので、今回の交流に対して少し不安がありました。けれども、実際に接してみるとみんな純粋な子ばかりで、むしろ僕の方が元気をもらってました。この交流を通して、今までの自分には無かった、新たな幅を広げられた良い経験になりました』

リョウゴ
『小さな子達と遊んだ経験が少ないので、仲良くなれるか最初は心配でしたが、みんな積極的に話しかけに来てくれたりしてすぐに仲良くなることができ嬉しかったです。また機会があれば一緒に遊びたいなと思いました。』

なつみ
『元々小さい子が好きなので楽しい時間を過ごすことができました。2、3歳の子達だと最初はやっぱり気持ちが伝わらなくて戸惑うこともありましたが最後は仲良くなれて嬉しかったです!』

タカシ
『今回の春光学園交流の話を聞いたときは小さい子供達をキチンと相手できるか不安でした。なので当日は相手の子供との目線をあわせることを意識して接しました。小さい子供達はとても可愛らしく元気で、振り回されながらも一緒に楽しく遊ぶことができました。今回の交流は自分にとって、とても貴重な経験だったのでこの経験を無駄にしないようにしたいです。』

拓未
『春光学園のみなさんありがとうございました。みんな暑いのに元気いっぱいで、走り回っていてすごいなと感心しました。(笑) 2日間いっしょに楽しい時間を過ごせて本当によかったです。』


 私自身、教員生活のスタートは養護(現・特別支援)学校だった。小中高併設の養護学校で最初に担任になったのは小学部5年生。知的なハンディのある子どもたちだったので、知的年齢は3歳程度。そこでは、早稲田ラグビーや警視庁で培った何もかもが役に立ちやしない。それまでの28年間で作り上げた自分ではどうにもならず、強制的に自分の殻を破るしかなかった。具体的には、一緒にお歌を歌ったり、チョウチョになったりつくしになったり…。
 強制的に広げられた自分の幅。その過程で無意識に生まれた優しい気持ちと感性。たった1年で柏陽高校へ移動となったが、教員としてではなく人間として、今の自分を創る大切な経験となった。

 今回のこの交流を通じて、部員たちが16~17年間作り上げてきた自分の殻を破り、自分の幅を広げ、自分の知らなかった自分の優しい気持ちに気づくことができたとしたら、人生の彩度は確かに変わったはずだ。




  この交流の直前に行われた練習試合は、シード校の湘南工大相手に、Aチームは「7-0」、Bチームは「21-7」で勝利しました。
攻守ともに反省点が明確。菅平前に修正したいと思います。








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