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vs横須賀総合 『律が律であるために』

2014/02/03

 「律」その集団が守りぬかればならない掟。
 横須賀総合との戦いの最終スコアは「13-13」のドロー。内容的にもドローと言っていい。ノーサイドから5分後、津田組は試合後シボリに歯を食いしばり、感情を吐き出して走り、タックルを繰り返した。「律」が「律」であるために。

 この津田組の代、横須賀総合校は横高の約3倍の過去最多経験者が加入した一方で、津田組は近年最少の経験者数。初心者組もサッカーやバスケができるような運動能力を有する選手は皆無。初めて横須賀総合と対戦した1年時のセブンス大会では、赤子のように遊ばれて手も足も出ない大敗。これが津田組のスタート時点だった。

 そしてこの日、津田組は25名中10名がケガという異常事態。Aチームの6名が欠場。欠いたキャプテン拓海は精巧なスローワーにして攻守の要、トオルはフッカーにしてセカンドスローワー、NO8拓未はチーム随一のペネトレーター、SHフウタは攻撃の起点でありチームのリズムを作る心臓部。つまり、チームの重要な軸を多く失っていた(拓海とフウタは2月の都県対抗戦県選抜チームに入る可能性が十分にあっただけに、それも無念)。

 試合はその影響が分かりやすく出た。スロー経験ゼロの選手が投げたラインアウトは、勝負どころでことごとくスローミス。相手にボールを返上した。フッカー歴のほぼない選手が組んだスクラムは、フッキングミスを連続して相手にボールを返上し、大チャンスを潰した。この土日が初スタメンのSHが放るパスだから、(大きなミスなく投げはしたので合格点だが)BKラインの勢いを大きく制限した。この日のメンバーでできることは、決定力あるバックスリーにボールを無理やり集めることと、練習の8割を割いて強化しているDFを執念で続けることだけだった。

 あえて長々とネガティブで言い訳じみた現状を書いた。「この状況でよく戦い、よく引き分けた」が、横須賀総合とのそもそもの戦力差とケガ人だらけの現状を知っている人のおおかたの感想だろう。それはたぶん正しい。つい山ほど言い訳を書いたように、実のところ私も少しはそう思っている。

 それでも、試合後シボリは行った。自主性を掲げ、「この大会は任せた」と1週間前の練習からノータッチだったにも関わらず、この試合後の30分だけは、自主性尊重の方針を身勝手にどこかに放り捨て、シボリを行った。「律」が「律」であるためにだ。
「横須賀高校ラグビー部は、この三浦半島では常勝集団でなければならない」
「横須賀高校ラグビー部は、公立最強であり続けなければならない」
 これは、先人たちが継承してきた誇りであり律である。どんな理由があれ、譲ってはならない。この日の引き分けを「この状況なのによくやった」と口にした瞬間、横高ラグビー部の誇りと律は消滅する。たった一つの代でもその律を崩した瞬間、横高ラグビー部が横高ラグビー部でなくなってしまう。
 だからどんなにもっともらしく聞こえる言い訳と理由があろうと、守らなければならないものがある。やせ我慢でも、何でもいいから。

 
駿介(ゲームキャプテン)
『個人的には、ディフェンス面ではよく体を張れたと思いますが、肝心のアタックでパス能力のなさを露呈してしまいました。これからしっかり課題を克服していきます。チーム的には、三浦半島で勝たなくてはならないという横須賀の伝統、使命を守れなかった事は、悔しいという言葉では表せないほど悔しいです。いくら怪我人が多いからといって、それを言い訳にしていたら何も始まりません。これを機に、全員がラグビーを真剣に、厳しく、また、楽しくできるチームづくりをしていきたいです。』

カズ
『結果は散々で勝ちきれなかったことが悔やむゲームでした。気持ちがぶつかり合って均衡していたゲームで、決めきれなかったことが一番悔いが残りました。ひたむきに戦い続ける横須賀のスタイルを忘れずに、日々励んでいきたいです。』
 
ジュンキ
『ウィングがトライをとらないと勝てない試合だったので、絶対にトライをとってやると思っていました。しかし、ラインブレイクしてもその後にいつも通りのステップを踏めずカバーDFに止められてしまい、トライをとることが出来なくて、悔しかったです。これからは、自分がボールを持ったら確実にトライをとれる選手になりたいです。』
 
コタロウ
『この試合に向けて、タックルの精度を上げることを意識して練習してきました。しかし総合戦では、体力がなくなって、しっかりとしたタックルを入ることができなかったり、課題がたくさん残りました。次の試合に向けて、課題のフィトネスをつけてアタック・デイフェンスともに活躍できるようになりたいです。』
 
 
 横須賀総合との勝負は、9月の市大会に持ち越された。今からその試合が待ち遠しくてたまらない。この日のシボリで、一人ひとりが何を感じ、己の何に気づくことができたのか。
 シボリの直後、ゲームキャプテンの駿介が自らの判断で全員を集めた。心の底から実直な決意を叫んだ。今まであえて口にしなかった目標を、このとき、あえて口にした。この引き分けは、このシボリは、チームとしても個人としても大きなターニングポイントにできる可能性がある。





 

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