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1年生デビュー戦 『タックルこそが・・・』

2014/06/02

 「強い・・・」などと自チームに驚いてしまった。何しろどのくらい自分たちの力があるのか、このデビュー戦がどんな展開になるのか、試合が始まるまで全く想像がついていなかったからだ。

 関東大会直前の6月1日、毎年恒例の1年生デビュー戦「VS平塚学園1年生試合」が行われた。

 怒涛の6週連続公式戦(関東大会予選)の影響を受け、申し訳ないが1年生へのコーチングはなかなか手が回らず、例年のこの時期より明らかに準備不足で迎えたゲームだった。

 タッチラグビーで証明されている通り、今年の1年生のポテンシャルの高さは間違いない。とはいえ、「本物のタックル」と「本物のラグビー」を練習でもほとんど経験していない状況で、はたしてラグビーが成り立つのだろかという不安(楽しみ)が消えぬまま当日を迎えた。

 

 キックオフ直後、不安は感嘆に変わった。DFをつけない練習ではバラバラだったはずのアタックが、実際の試合になったら立派に成り立っている。リョウタがテンポよくさばき、シュウヘイを基点に見事な連続攻撃。練習よりもよほど大胆に積極的にプレーするリュウカやユウトら(他にも多数)が突破を繰り返した。
 前半と後半でほとんどの選手がポジションを変えるという難しい条件をクリアし、最終スコアは「33-0」で快勝を収めた。

 特に上級生の歓声を浴び続けたのはコウヘイ。スピード、バランス、強さを兼ね備えたランを繰り返し、全33得点中21点をスコアした(実はナイスタックルも連発していた)。

 突破やトライに目がいきがちだが、ブレイクダウンも立派に成り立っていた。倒された選手は上級生顔負けの教科書通りの身のこなし。形しか教えていなかったはずのスイープもハンマーも立派に繰り返していた。


 大勝の中で気が付きにくいが、特筆すべきは相手を零封したDFだ。試合直前に、例年通り以下の話をした。

「ラグビーで一番偉いのは、タックルができる選手だ。アタックとはすなわち「自由」だ。その選手が得意なこと、やりたいことをやればいい。パスだってキックだってステップだってヒットだって、自分が得意とする手段を選べばよい。

 しかしDFはそうはいかない。向かってくる相手に対して対抗できる唯一の手段が、タックルだ。タックル以外に術はない。だからタックルができない選手は、他の何が優れていようとチームメイトから信頼されることはない。


 タックルの恐怖心に打ち勝つ力は、「勇気」「責任」「誇り」「闘争心」などの崇高な人間力だ。だからタックルのできる選手は、誰からも大きな信頼を得る。それはプレーヤーとしてだけでなく、人間としての評価でもあるのだ。

 長い年月をかけて継承された伝統。横須賀高校が推薦入学選手の豊富な私立勢と戦うためには、いつの時代も「タックル」しかないのだ。タレント選手がいない津田組が関東大会を勝ち取ることができた理由は、「タックルを厭わない選手を15人揃えることができた」ことが実は大きい。

 この日の1年生のタックルは見事だった。タックル自体のレベルは低く、よく外された。しかし「相手がきたから仕方なく恐怖を我慢していく」ではなく、ほとんどの選手が自分の意志と意欲で相手に仕掛けていた。横須賀高校ラグビー部の伝統を継承する気配を、確かに感じた。

 総じてそんなタックルが多かったからこそ、ビビッてしまったいくつかの記憶は「恥ずかしい」という感情を試合後に掻き立てたことだろう。タックルを外した後悔はすぐに消える。タックルを躊躇した後悔は、次に試合で相手に突き刺さるまで消えやしない。

 今年もそんな素敵なデビュー戦だった。

 

シュウヘイ(ゲームキャプテン)

『今回は1年生同士での初試合となりました。自分の動きやパスにBKラインがしっかりと反応してくれて、練習からイメージしていた形に少し近づくことができました。今後の課題としては、後半、メンバー全員が疲れてくるにつれて声が疎らになってしまったので、まず自分からコールをして、やるべきことを明確に示していきます。』

 

コウヘイ

『入部したときから、この平学戦のために仲間とサインを決めたり日々の練習を集中して行ってきました。本番の日、初めてのラグビーの試合はどのようなものかと不安もありましたが、楽しみもありました。試合の中で相手の圧力がすごく、「これがラグビーなのか。」と改めて実感しました。平学戦では冷静でいられないことなど多くの課題がわかりました。その課題を解決するためにこれからも日々の努力をしっかりとしたいと思います。』

 

リュウカ

『今日初めて全力でラグビーをするとはどういうことなのかがわかりました。ボールを持ったら前に進む。低いタックルをする。一つ一つの行動がチームの勝利に関係するのだとわかりました。今日出た課題を次のセブンスまでに直していきたいです。』


今年も平塚学園さんからアフターマッチファンクションを開いていただきました。
気迫あふれるプレー、試合後の颯爽とした態度、圧倒的ユーモア。
本当に尊敬すべきチームであり、ライバルです。これからもよろしくお願いします!



 

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