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関東予選敗退 『インビクタス』

2015/04/29

 茫然自失。頭が真っ白になるとは、こういうことなのか。ノーサイドから何かを考えられるようになるまで、かなり長い時間を要した。

 関東大会予選3回戦、相手は津田組を終わらせた因縁の相手・法政二高。最高のシナリオが与えられたと思っていた。

 展開力を武器とする横須賀は自分たちのラグビーを貫いた。公式戦は簡単に抜けない。執念のカバーDFが追いすがるからだ。展開勝負の横須賀は、何度も法政を崩してトライに迫った。しかし法政の執念のDFに圧力を感じ、ラストパスでミスを繰り返した(前半だけで8回)。対する法政は、FW勝負を貫いた。FWで塊を作ってのスローピックを1試合で50回以上繰り返した。勝つために絞りぬいた戦法の徹底ぶりは見事だった。

DFFWで勝負』、公式戦で結果を出すのに最も有効な手段を貫いた法政と、速いテンポで展開すれど、あと一歩でミスが出てスコアできない横須賀。そう、これはまるで一年前に津田組が法政を倒した試合のジャージの色をそっくり変えたようだった。

 伏線を見逃していた。1回戦は97対0。2回戦は70対0で勝った。しかし、実は2試合とも10回のハンドリングエラーでボールを失っていた。ミスが多い。スキルがやりたいラグビーに届いていなかったのだ。これを深刻にとらえ、アプローチすべきだったが、正直時間が足りなかった。

 言い訳じみた話だが、この3週間は新入生勧誘のラグビー体験会を最優先した。部の存続のために、これだけはやむを得なかった。この3週間、平日のグランド練習は体験会を終えた6時頃から開始。1週間で僅か50分×2~3回しか練習ができていないという状況だった。

 ゆえにこの法政戦は「近場のダブルタックル」と「対ジャッカルのスイープ」のみに絞り込んで準備した。法政戦、ラストパスだけでなく崩しの1次攻撃のパスさえもミスを連発してしまった。

 

「スキルの足りないBK」「走れないFW」「1対1で相手に勝てないひ弱な肉体」敗因はこれだけで十分だ。戦術や勝利のストーリー、メンタルコントロールなど万事を尽くした気でいたが、本質的な地力がついていなかったのだ。

 

「やれることはやってきた」「ベストは尽くしてきた」そう思うこと自体が間違いだった。自己認識が甘すぎた。もっとやれることはある。まだいくらでも変われる。決して行き詰ってはいない。無限に努力と成長ができる余地はある。


 

『私がわが運命の支配者、わが魂の指揮官なのだ』

 敗戦の3日後、全部員で映画「インビクタス」を鑑賞した。映画の主人公・あのネルソン・マンデラ大統領は言った。

『生きるうえで最も偉大な栄光は、決して転ばないことではない。転ぶたびに起き上がり続けることにある』

『勇者とは怖れを知らない人間ではなく、怖れを克服する人間のことなのだ』

 映画のタイトル「インビクタス」とは、「不屈」を意味する。

 失敗とは、成功の前に止めること。挫折とは、成功の前にあきらめること。

 いま必要なのは、不屈の魂と今度こそシード私立を倒すためのリアルな日々を送る覚悟だ。

 やるのは誰だ?変わるのは誰だ?そう、お前だ。チームではない。お前が、一人ひとりが変わるんだ。
 最後の大会、花園予選での感動と笑顔を信じて。




 

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