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2015年度入部式 『退路を断て』

2015/05/11

 この光景を前に、深く頭を垂れたくなる。勇気を出してラグビーを選んでくれた1年生に。ご理解くださった保護者の皆様に。絶体絶命の状態から全力を尽くし切って勧誘を成功させた上級生に。このクラブの長く深い伝統に。
 5月10日、紺碧の空とラグビーヶ丘に見守られ、横須賀高校ラグビー部70期入部式が行われた。今年の新入部員はプレーヤー17名とマネージャー2名。これは1クラス増で320人募集だった岩田組(65期)と並ぶ、私が赴任以来最多の人数だ。男子生徒の9人に一人がラグビーを選んでくれたことになる。

 とはいえ、今年の勧誘は崖っぷちのスタートだった。なにしろラグビー部に入部するつもりで入学した生徒など、今年も例年も2~3人。大半が「まさか自分がラグビーを選ぶとは思ってもいなかった」生徒だ。野球やサッカーや陸上のように、放っておいても勝手に部員が集まるスポーツではない。執念と知恵を結集させた勧誘活動を行い、無理やりにでもグランドに連れてくる。そしてラグビーの楽しさとラグビー部の魅力を体感してもらい、「想定外」だったラグビー部を自らの意志で選んでもらう。これが道筋だ。

 その唯一の空間・「ラグビー体験会」が、今年は入学式後のニュースにもなるほどの雨続きで、全く開催できずに10日間が経過してしまったのだ。例年であれば入部者が10名に近づく2週間目の最終日、経験者2名以外には僅か2名しか入部していないという絶体絶命の状況だった。そんな崖っぷちから、様々な新しいアイデアと部員全員の根性により19名もの新入部員を獲得することができた。

 午前中の保護者説明会を終え、グランドで入部式が行われた。15歳らしい。例年よりも頼りなげで少し声の小さな自己紹介と抱負を一人ひとりが行った。最後はキャプテンからのウェルカムスピーチと上級生からは歓迎の部歌「坂東武者」斉唱。爽やかでいて凛とした空気に包まれた。

 その後は恒例のタッチフット大会。今年は1年生3チーム+上級生「オールプロップス(体重80kgオーバー)」の計4チーム。決勝戦終了後は、1年生の代表5名vs主力上級生3名の真剣勝負を行った。予想通り、オールプロップスは惨敗し、主力3名チームは勝利した。

 今年の1年生の特徴は「上手い」こと。不器用な選手や足が遅い選手が一人もいない。全員がすでにある程度のパスを投げることができる。それにセンス溢れるタカキらのコントロールが加わると、すでに上級生レベルのアタックを時折見せてくれる。3年後、この代のチームスタイルはパスとリズムを軸にしたランニングラグビーで間違いないだろう。


 この日の挨拶で私が特に力を入れて伝えたメッセージは「辞めないこと」だ。残念ながら今の2年生は、近年で最多の退部者が出てしまった。失敗の原因や後悔があるとすれば「甘やかしすぎたこと」。辞めて欲しくなかったから、昨年はとにかく許し、待ち、許し、ひたすら我慢を私も上級生も続けた。「もうあれ以上気を遣えないよ」というほど気を遣った。結果、弱い心と逃げたい心がむしろ増幅してしまったと分析している。

 過去数年の例を考えても、辞めて得られるものなどほとんどない(あるとしたら茶髪と荒んだ心か)。困難や挫折や苦悩や葛藤、すべて逃げずに対峙する過程で、人間力を自らの経験として身につけることができる。好きで始めたことだって、ときにはモチベーションを失うこともある。しんどくて、できることなら逃げたいと思う日々もある。ラグビーに関わらず、何事もそうだ。

 そんな壁や苦悩にぶつかったときが、自分を成長させる最大のチャンスなのだ。「勝てない」「踏みにじられた」「逃げたい」「しんどい」。そんな時に、自分と対峙する。対話をする。「何がつらいのか、原因は何か」「それを克服するために、何をすべきか」「自分の理想とする自分の姿は?」「自分が男として譲りたくないものは?」「初心は?」
 己の姿と、目の前の壁と、かつて夢見たのに今は見えなくなりかけているロマンを、冷静に的確に考えてみる。やるべきことを整理する。今の自分でできることを明確にし、足元のまず一歩を確信をもって前に進める。それが一生ものの生き抜く力に育つ。

 その過程で、きっと仲間への愛情や感謝、己のプライドと、絆、尊敬、寛容、優しさ、人間関係、さまざまなものを「自らの体験として」理解できるようになる。だから、辞めちゃいけないのだ。
 「勉強が・・・」「親が・・・」自分が責められないであろう理由をこねて投げ出した人間が、その後に成功するとは思えない。自分が好きで始めたことなのに少々のことも我慢できずに投げ出した人間が、大学受験や社会人としてのストレスやハードワークに耐えられる訳がない。

 今の上級生たちも、かつての先輩たちもそうだ。何度か辞めたいと思うことくらいあって当然だ。だって大きな目標や弱い自分を乗り越えようとしているのだから。それでも辞めない。「この仲間と一緒にいるのが楽しいから」「自分だけ逃げるみたいでかっこ悪いから」理由は何でもいいさ。辞めずに上級生になれば、見えなかった新しい楽しさが生まれくる。卒業する頃には、「誘われて勇気を出して入部してよかった」「あのとき辞めないでよかった」と心から思える。横須賀高校ラグビー部は、そんな集団であると確信している。
 
 ラグビー自体の特性(知性、勇気、決断力、対応力、団結心、フェアネス、責任感など)、横高ラグビー部の特性(自律に向けた様々な取り組み、パッション、伝統など)は、きっと君たちを今より遥かにカッコいい男(女)に育ててくれる。
 人間は選択肢があると悩み苦しむものだ。退路が用意されている道。そんな心で歩む道から得られるものなど、ほとんどありはしない。
 選択肢と退路を断つこと。「絶対辞めない」を揺るがぬ決意としてこの道を歩めば、きっと高校生活は最高のものになる。3年間、そんな生活を共にエンジョイしよう!!頑張れ!!

 

モトヒロ
『2、3年生に少しでも追いつきチームの力になれるように一つ一つの練習を大切にし、毎日の練習を一生懸命取り組みたいとおもいます。』

ヒナト
『自分は体が小さく、運動神経もあまりいい方ではないのですが、チームメイトに負けずに努力して、ラグビー部に入ってよかったと思えるようにしたいです。』

ツバサ
『「限界への挑戦」ではなく「限界からの挑戦」を日々の目標に。憧れの先輩達の実力に少しでも近づきそして追い抜かせるように頑張り、チームで信頼される選手になれるようになります』

シュンスケ
『まだまだ課題ばかりで学ぶ事の多い日々ですが、妥協することなく全力で毎日の練習に食らいついていきたいと思います。そして、先輩方に追い付けるようにします。』

大和
『自分は中学の頃の部活を続けようと思っていましたが、ラグビー部の雰囲気の良さや先輩方の明るさに惹かれ、この部活で頑張っていきたいと思い入部しました。3年間逃げることなく全力で取り組み、一流のプレーヤーを目指したいと思います。』

ケンタロウ
『常に明るく、常に全力で3年間がんばります。得意なプレーでできることを精一杯努力します。』

ユウダイ
『僕がラグビー部に入部することにした動機は今までやったことのないスポーツをしたくて仮入部にいったときにとても楽しかったからです。これからはチームにしっかり貢献できるように練習して行きたいです。』

タケル
『自分は入学当時はラグビー部に入るつもりはなかったのですが、先輩方の優しさと肉体美に憧れて入部しました。これから先輩に早く追いついて、足を引っ張らないようにがんばります。よろしくお願いします。』

タカフミ
『仮入部で先生や先輩方が明るく楽しそうに練習していて、さらに一緒にやってみて面白かったのでラグビー部に入りたいと思いました。ラグビー部の練習はキツイと思うけど、日々の練習をその意味を意識して取り組み、なにより楽しくラグビーをして試合で活躍できるような選手になりたいと思います。』

コウイチロウ
『僕は横須賀高校に合格できたらラグビー部に入ろうと決めていました。 憧れていた横須賀高校のラグビー部で3年間身体的な面はもちろん、精神的な面でも成長できるよう精一杯頑張りたいと思います。』

ヒデヨシ
『小学校の時はバスケットボールと水泳をやっていました。中学の時は陸上部で長距離をやっていました。走ることは得意だと思うので、そこを生かしていけるように頑張ります。3年間絶対辞めずに続け、少しでもチームに貢献できるように頑張ります。』

リク
『僕は入学当初、あまり激しい部は嫌だなと思っていましたが、先輩の勧誘でラグビー部の体験に行ってみてこの部活すごい楽しそうだなぁと思いラグビー部に入部しました。自分の得意なパスを中心に練習を重ねてレギュラーに入りたいです』

ジュンイチ
『勧誘や体験のときに、ラグビー部の楽しそうな雰囲気が伝わってきて、自分もその中で努力し、けじめのつけられる人間になりたいと思いました。得意のスピードで頑張ります。』

ハルミ
『スピード、パワー共に最高のパフォーマンスができるよう、日々の練習を大切に努力していきます。』

タカキ
『自分は体が細いぶんもっと筋肉をつけ、体の大きい人にも負けないようになりたいです。また、誰よりも走って活躍できるような選手になれるよう頑張ります。』

ハヤト
『一瞬で相手を抜き去り、トライを大量量産できるようなプレーヤーになりたいです。また、生活面においても、「不言実行」が当たり前にできる人になりたいです。』

ヤスチカ
『3年間何事にも挑戦し、どんな挫折や困難が立ちふさがってもそれを乗り越えて立派な選手、そして立派な人間になりたいです。』

かほる
『親からは自分の事しか出来ないのにマネージャーなんか出来るのかと言われていますが、親を見返せるようなマネージャーになります。その為に自分で考え行動し、選手がベストな状態でプレーできるよう頑張ります!』

みなみ
『選手が何を求めているかをとっさに判断し、臨機応変に行動できるようなマネージャーになりたいです。自ら積極的に仕事を探して全力で選手のサポートをしていきたいと思います。』



入学式直後

男子トイレ前の窓ガラスポスター(A4×9枚)
 

 入部式の4日前、恒例の1年生タッチフット対決が行われました。今年は柏陽や追浜の都合がつかず、湘南高校との一騎打ち。3チーム対3チームで、見事7勝2分け!! その後は湘南高校のご厚意で、ラグビーが誇る文化「アフターマッチファンクション」を楽しみました。湘南高校の皆様、本当にありがとうございました!

ここまでやってラグビー! アフターマッチファンクション。


上級生プロップタッチフット対決

この日は秋葉台の県セブンス大会のブロック優勝直後、湘南高校まで6.5kmラン。からの合同練習でした。


宇野組完成!応援よろしくお願いします!!
 

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