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日英親善試合 St.Paul's School戦 『ラグビー、世界中どこでも』

2015/08/20

 悦び。体中に何だか幸せなものが満ち溢れ、今日のゲームの反省による重い気持ちはすっかり消えている。アフターマッチファンクションという素晴らしい文化を持つ、これぞラグビー。すっかり暗くなったJR山手駅までの帰り道、心からラグビーの文化と空間をエンジョイした選手たちの興奮は収まっていなかった。

 8月19日、待ち望んだ一戦、セントポールズスクール戦が日本ラグビーの伝統の地・YCACグランドで行われた。セントポールズスクールは創立500年以上の歴史を持つイギリスを代表する伝統パブリックスクール(私立)。「ザ・ナイン」と呼ばれる超名門校の一つだ。9月にイングランドで行われるW杯のPRを兼ねた親善大使として来日し、約2週間の滞在で、京都で同志社高校・洛北高校と、菅平で常翔学園・国学院久我山・浦和・岡谷工業・熊野高校と対戦。最終地横浜で、横須賀高校・慶應高校と対戦した(合間には有名な寺社巡り、座禅や藍染めお茶など、四国で阿波踊り、東京で隅田川下りに相撲部屋体験に東京タワーに、浅草、渋谷に桜木町etc。この翌朝から香港へ。タフです・・・)。

 対戦相手として指名してもらった幸運。セントポールズ校やラグビー協会の期待に応えなければいけない。国体関東ブロック大会に参加中のキャプテン・アキヒコ(SO)が不在というかなり厳しい状況であったが、善戦ではなく勝利に拘り、決戦に臨んだ。

 それだけでは足りない。何とか日本の他校とは異なる「Yokosuka」のインパクトを残したい。地球の遥か遠くから訪れた相手へのリスペクトとホスピタリティーを伝えたい。敵であり、仲間である。それがラグビー。全部員で「おもてなし」のアイデアを考え、アフターファンクションでのパフォーマンが決まった。そして「ハカ」をやることを決めた。

 ハカとは
NZやサモアやフィジーなどで行われる「戦闘の儀式・踊り」のこと。一般的にはNZオールブラックスのハカ「カマテ」や「カパオパンゴ」が有名だが、それを日本人が真似しても意味がない。やるからには、横須賀オリジナル。三浦半島に住む我々のルーツでありチームのシンボル「坂東武者」らしさを出したい。日本剣道形の動きをヒントにゼロから創り、僅か3日間だが、剣道場で竹刀を持ちながら練習を行った。

Bravery , Trust , Responsibility , Pride . We have the spirit of Bandoh-Musha ! 」ユキヒロのリードで、キックオフ直前に披露した。対するセントポールズは15人で腕を組み、ハカが終わると横須賀を威嚇するように声を合わせ、向かってきた。まるでテストマッチ(国代表試合)!夢の時間の始まりだ!

https://youtu.be/C61l8zM-PpY (ハカの動画です!)
 

 初めての海外のチームとの対戦。動きが固い。DFやセットプレーでやれる確信をすぐに掴んだはずなのに、アタックでかつてないほどボールをこぼす。ラックやスクラムからボールがこぼれ、SHからのファーストパスすら落とす。ラインアウトのスローもかつてないほど乱れるなど、メンタルで余裕を失っているのが明白だった。気負いもあるが、やはりセントポールズの圧力だろう。ハンドリングエラーを繰り返して自分たちのラグビーが継続できなかった。

 対するセントポールズは外国人特有のボールの繋ぎを見せる。クラッシュに対しては十分に対抗できるが、オフロードパスや倒れた後のパスは国内では目にすることない見事なものだった。ラックサイドからキックパスまで、全てのチャンネルを的確につくアタックに苦しめられた。最終スコアは「19-29」。悔しい結果、しかしイギリスのチームと本気で戦う、夢の60分間だった。

 ゲーム直後、相手を握手で送る花道を作るつもりだった。しかし、先に走り出して花道を作ったのはセントポールズ。ノーサイド直後に先にスリーチアーズを送ったのもセントポールズだった。横須賀の選手たちにとっては、「やっぱりこれがラグビーの文化なんだ」と再確認させてもらうことができた。



 ゲームは終わった。しかし、ここからが大切な後半だ。ラグビー特有の文化・アフターマッチファンクションだ。この日のために、会に参加する上級生25名は、自分なりの英会話を勉強・準備していた(はずだ)。
BBQを囲み、セントポールズの選手たちとの会話を予想以上に楽しむことができた。共に肩を抱き、体を揺らしながらポップスを熱唱した。


マネージャーは「おもてなし浴衣」で。

 しばらくBBQを楽しんだ後は、フォーマルなレセプション。日本のNO1レフリー・平林泰三さんの挨拶に続いて、両チームのキャプテンスピーチ。アキヒコが不在なので、この日のゲームキャプテン・ショウが英語でスピーチした。おそらく全ての人の予想を大きく上回る、堂々とした立派な内容のスピーチだった(英語科の岩本先生の絶大なる事前サポートのおかげです)。


 挨拶が続き、やや硬くなった会の終盤。横須賀がホスピタリティーを発揮した。マネージャーのまりこを中心に武道の演武。続いて、マネージャー5人が浴衣姿でモモクロを踊り、その中にオタ芸集団が乱入。「
Budo」や「Akihabara」といった日本文化を披露し、テンションが再燃。アフターマッチファンクションを終え、セントポールズを見送るまで、選手同士のコミュニケーションや合唱は続いた。




 

ショウ(ゲームキャプテン)

『たくさんの応援ありがとうございました。この一生に一度しかないであろうビックゲームを経験することができ、誠に光栄です。アフターマッチファンクションの英語でのキャプテンスピーチは試合以上に緊張しましたが、なんとか上手くいって良かったです。

 試合は自分たちの簡単なミスで崩してしまいました。課題も見つかったので花園予選までにそれらを克服し、更に力をつけていきたいです。応援よろしくお願いします。』


タツヤ

『想像通り、相手は自分達よりはるかにサイズが大きく、もうここまできたら強気で勝負しようと割り切って試合に臨みました。しかし相手はフィジカルが強く、良いタックルに入ったと思ってもボールを繋がれたり、またパワフルなランニングに圧倒されてしまうときもありました。しかしその中でも自分のプレーが通用する部分もあり、大きな自信を掴むことができました。

 またアフターマッチファンクションではコミュニケーションがとれるか不安だったのですが、会話を楽しむことができ、本場イギリスのノリを体験してラグビーの素晴らしいと改めて感じることができました。これからの最後の大会に向けて強い相手との試合で出た課題を修正してステップアップしていきたいと思います』

ジュンキ

『国際試合を経験できるのはこれが最初で最後の機会だと思っていたので、いつも以上に試合を迎えるのが楽しみでした。また、キャプテン不在という状況で、どれだけ自分たちがどれだけ成長できたかを証明するチャンスでもありました。その中で、チームとして勝利という結果が残せなかったのは率直に悔しいです。個人としても、夏合宿で少し自信を掴みかけていたアタックで、全く良いプレーを出せず、トライに関わることができなかったことがとても情けなく感じました。秋までの残り少ない期間で、圧倒的なアタック力を身につけ、トライを量産できるようにしたいです。』


まりこ

『まさかこんな大役を任されるなんて想像もしていませんでした。笑  披露する前に、英語で武道の紹介をさせていただいたときに、拙い英語力ではありましたが、セントポールの方々がたくさん反応してくださってとても嬉しかったです。見ていただく方々に失礼のないように、協力してくれた2年生と、3日間で必死に技を練習しました。

 今回のアフターマッチファンクションが、セントポールの方々にとって日本の文化に興味を持つ機会になり、また日本ツアーの最終日が一番印象に残る日になったらいいなと思いました。本当に貴重で素敵な体験でした!そして協力してくれた2年生、ありがとう!』

りりか

『セントポールズ高校との試合のお話を聞いてから、この日が来るのをずっと楽しみにしてきました。白熱した試合はもちろんのこと、学校や国境の壁を越えて交流させていただいた本格的なアフターマッチファンクションは〝本物のラグビー〟を肌で感じることができたと思います。一生の思い出となるこのような貴重な機会をいただけたことに心から感謝したいです。』




 

 横須賀高校が大切にしていること。ノーサイドの精神、相手をリスペクトすること、スリーチアーズ、アフターファンクション。世界中どこでも、やはりこれがラグビーなんだ。「ラグビー」この一言だけで、肩を抱き、共にグラスを傾ける友人ができる。ラグビーの素晴らしき文化が世界共通のものであることを、体験を通じて再確認させてもらった。

セントポールズの集団パフォーマンス

 セントポールズの皆様、ツアーの代表・高橋三郎さん、日本協会、県協会の皆様、その他、サポートしてくださった全ての皆様と応援してくださった全ての皆様に、心より感謝申し上げます。素晴らしい経験と素晴らしい時間を、本当にありがとうございました!




ラグビーニュースの人気サイト『ラグビーリパブリック』に載せていただきました!!
http://rugby-rp.com/news.asp?idx=108308&code_s=1002

 

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