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坂東武者ブログ

現実とのギャップ

投稿日時:2011/05/22(日) 22:32

 試合の総括は難しい。試合直後の感情的な解釈が、あとでビデオ分析すると実は的を外していることも度々ある。誰がいいプレーをして、誰の出来が悪かったのか。これもビデオ確認で印象がひっくり返されることが多々ある。だからなるべく試合直後は解釈を断定したくはない。
 しかしこの日の試合だけは、ノーサイド直後の感情を大切にしたい。「悔しい」「こんなものか」「いい感触」「無念」…すべて違う。ただただ「情けない」とだけ切に感じた。『克己心』をキャプテンがテーマに掲げた3位決定戦・対日大高戦は、「己に勝つ」どころか途方もなく大きな「情けない気持ち」に襲われての敗戦となった。


 負けたのは力不足が原因だ。その責任は指導者にある。これは桐蔭戦と何ら変わらない。しかし桐蔭戦と違うのは、私も選手も自分たちの力を過信していたのかもしれない。あれほど無意味で実利も何もありゃしない不要なペナルティーを重ねるメンタルの弱さ、あの程度しか押せないスクラムとモール。組み立てたいラグビーが全く成り立たない。


 あんなにディシプリンが足りない(自制する心が弱い)のなら、ブレイクダウンでコンテストなどするべきではない。あの程度しかモールを押せないのなら、戦術を変えなければ勝機はない。すべて誤算。日大高は確かに強かったし、横高をよく分析して奇襲を再三成功させるなど見事な戦い方だった。しかし横高はもっと強いと思っていた。傲りとは微妙に異なる過信。だからこそ「情けない」の気持ちは途方もなく大きかった。


 もう一度、やり直すだけ。稲垣組は発足以来、1年生の時よりも数倍の濃度の努力の日々を重ねてきた。しかし、他の強豪私立と比べて人材や環境など条件面のハンディをひっくり返せるほどの努力であったか。まだまだ。個人の甘さ、チームとしての甘さ。多分に残っている。たまたま結果が良かったから、見過ごしてきた気がする。強豪私立に勝つには、目の前の環境に対して一人ひとりがミリ単位の極限までベストを尽くさなければ。
 「関東大会出場」は、重ねた努力と実は見合わない大きなご褒美だったのかもしれない。ご褒美に見合う努力を。裏返せば、極限まで努力すれば、次は涙が出るほど大きな感動になるはずだ。花園予選もあるけど、まずは目の前の関東大会に向けて。