神奈川県立横須賀高校ラグビー部

　反省が難しい。

　１月１１日、新人戦決勝トーナメント・東海大相模戦は、あと一歩及ばなかったという惜敗でもなく、屈辱的な大敗でもない。最終スコアは「７－３１」。すなわち「フツウ」に敗れた。

　１週間前まで福岡県で行われていたワールドユース予選会で東海大相模が秋田工業に完勝した試合を生で見た。「今年もこんなに強いのか…」勝負の構図は定まり、「決戦」ではなく「大きな挑戦」として臨んだ。

　序盤の攻防で得た「思ったより戦える！」の感覚が、ＤＦの集中力を奪ったのか。「０－０」で迎えた前半１５分からの僅か５分の間で３トライを許した。横高のＤＦの掟として明示されていたはずのルールが、フワッと連続して破られた。そこも含めての実力。強く冷静な気持ちでＤＦの規律を保てないのは、実力と経験がないからだろう。 

　一方的に蹂躙された昨年の関東予選とは全く異なり、堂々とアタックを継続した。前後半ともに何度もゴール前１ｍに迫ったが、冷静さを保てずにインゴールノックオンや５秒ルールなどつまらないミスを繰り返して仕留めきれなかった。速い展開でたびたびラインブレイクした。仰向けにも倒した。一進一退のゲームだった。なのにスコアは「７－３１」。相模の勝負どころでの集中力は流石だった。

　実はテリトリー（エリア獲得率）は「７３対２７」、ポゼッション（ボール支配率）は「６１対３９」で、ともに東海大相模を大きく上回っていた（昨年まで依存していたモールは一度も組まずに）。「あと少し」の手ごたえも間違いではないだろう。しかし安易な総括は危険だ。ケガ人が多く相手がベスト布陣ではないこともある。それよりも危険な要因は、半端な自信が「変わらなきゃ」のきっかけを奪ってしまうことだ。

　宇野組に入り、常々感じていること。それは、元気がないということ。厳しい言い方をすれば、自ら生きている感じが弱いのだ。確かによく努力している。誠実と言ってもいい。しかし、自らが楽しんで成長しようと努力している迫力が弱い。「与えられた時間と与えられた空間の中で」一生懸命努力している。黙々というよりは、粛々と。ゲーム中も横須賀らしいアゲアゲ感が、明らかに例年より弱い。

　たとえば津田組の櫻井風太なら、自分を成長させることを２４時間考え、与えられた時間と空間以外でも、緩むことなく努力を重ね続けた。周りに流されることなく、合間に僅か２～３分でもあれば今がチャンスとばかりにパスを投げ込んだ。自らを理想像へ近づけるのだという意気と迫力が漲っていた。

　たとえば伊藤組の若原慈なら、自分の機嫌やプレーの出来不出来とは切り離してチーム全体の雰囲気を常に感じ、少しでも盛り上げようと声を高めのトーンで張り上げ続けた。

　彼らは自立した人間として、環境にも監督にもチームメイトにも依存せず、自分や自分の愛するチームを理想へ近づけるために生きていた。

　相模戦、宇野組にとって、一人ひとりにとって「変わる」の覚悟が芽生えるターニングポイントにできなければ、シード校との差は開くだろう。ほどほどやれて、それなりのスコアで終わった相模戦。分かりにくい結果だが、この試合を機に自信と共に変革意識を。
 

アキヒコ

『課題がすごく浮き彫りになった試合だったと思います。個人的にもタックルやペネトレートなど。チームとしても関東予選までにやるべきことが明確になったことはとても良かったと思います。これからは一人ひとりが自分に厳しく精進していきます。』

タツヤ

『今回の試合では自分にとって多くの収穫を得ることができました。DFなどで多くの課題が見つかりましたが、自分の走りはシード校にも通用することが分かり、大きな自信になりました。関東予選までに課題を修正し、プレーを強化して打倒シードの目標を達成できるよう必死に取り組んでいきたいと思います。』

コウタロウ

『負けてしまい、自分のプレーに関してとても悔しい思いをした試合でした。しかし今回の試合で今までの試合では見えなかったタイトな試合で自分に必要なものが何かがよく分かりました。これからの三ヶ月で、この試合で分かった自分の弱い部分を鍛え上げて信頼されるプレーヤーに成長します。』

コウダイ

『新人戦が終わってしまいました。サニックス予選会に行くような東海大相模と試合をして、チームと個人の２つの実力が分かる、とても中身の濃いものだったと思います。関東予選まで時間はあまり多くないですが、７－３１という結果と向かい合ってチームも個人も何段階もステップアップしていきたいと思います。』