神奈川県立横須賀高校ラグビー部
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追浜高校戦 『逆境で光る』
2017/01/29
「不安」を通り越して「開き直り」になったとき、なぜか急に勝ちそうな気がしてきた。暗雲に暗雲が重なったら、なぜか目の前が開けたような不思議な感覚。
1月28日、横須賀市大会追浜高校戦。2日前にバイスキャプテンが、前日朝に攻守の重要な柱の選手が、夕方にキャプテンが、インフルエンザを発症してチームから離脱した。
追浜高校は、昨年まで5年間チームを指導した堀江先生の情熱と学習意欲が生徒たちにも伝播し、急成長を果たした好チーム。特に今年の県内での評判は極めて高く、横須賀が初戦で山手学院に敗北している間、3回戦まで勝ち進み、福岡サニックスワールドユース予選会で優勝したばかりの東海大相模から10点を奪っている。実は1年前のこの大会、あのタレント豊富な塩島組が追浜に勝利したスコアは、実は僅か「5-0」だった。
この相関性から、ベストメンバーであっても「うちがチャレンジャー」と意思統一して臨むべき相手だった。そんな試合の直前、インフルエンザにチームの両手両足がもぎ取られるかのように、戦力を大きく失った。FWバイスを失ったときに不安に包まれ、続いて重要な柱の選手を失ったとき、敗戦の恐怖が広がった。そしてキャプテンを失ってもう開き直おるしかなくなったとき、「負けるかも」の恐怖は「勝ってやる」に変わった。
『これほどの逆境を跳ね返して勝ったら、めっちゃカッコいいぜ』
気持ちと景色は晴れた。ベストメンバーでも負ける恐怖があったのに、これほど戦力ダウンしたメンバーになったら、なぜか勝ちそうな気がしてきたのだ。キックオフの18時間前に決まったメンバーは、初スタメンが3名、初ポジションが3名、初出場が5名。
キックオフ直後に連係ミスから相手の突破を許し、あわやノーホイッスルトライかという最悪の出だしだった。初尽くしの急造メンバー。システム的には上手く戦えるわけがない。しかし追浜高校を事前に分析し、このゲームでフォーカスした部分だけは譲らずにシンプルに戦い続けた。タックルとブレイクダウン。1年生が6/8を占めるFWは格闘の部分で自分たちより大きな相手に全く譲らず、優位に立った。
「横須賀のタックルは違う」
代は変われど、横高が他チーム関係者から何年も言われ続けてきたセリフを思い出した。この試合のタックルは確かに、魂のこもった「横須賀のタックル」だった。
勝利が確定的となってから全リザーブを投入した後にトライを許したものの、「15-7」でノーサイド。とんでもない逆境をそれは見事に乗り越えてみせた。
この逆境においてなぜ急に勝てる気がしたのか。きっとそれは選手たちがゲームの準備をする姿にもあった。自主決定自主運営を進化させる村上組は、日常から特定の個人に頼らず多くの選手がリーダーシップを発揮し、物事を進める力がついている。キャプテンとバイスを欠いても、ツバサやケンタロウ、ハヤトらがまるでキャプテンかのようにリーダーシップを発揮していた。動揺やパニックは全く目立たなかった。
自主路線の成果はそれだけにとどまらなかった。こちらの想像を超えた素晴らしい光景は、3トライ目のコウイチロウのトライ。スクラムを組むまさに直前、SHのヒナトがスペースと相手の特性から瞬間的にサインプレーを考案し、コウイチロウに告げた。そのイメージ通りにヒナトは相手を絶妙に引き付けると、コウイチロウの長所を引き出すスペースへパス。DFに触れられることなく、勝負ありのトライを決めた。「やらされるラグビー」では決して生まれない、かつて記憶のない素晴らしいプロセスを経たトライだった。
ハヤト(ゲームキャプテン)
『今回の試合はキャプテンとバイスがいないなかで、一人一人がリーダーとなって試合に望む必要がありました。結果としては勝つことができましたが、チームとしても個人としても課題はあるので、そこをこの一週間で修正し、万全の状態で総合戦に臨みます。応援よろしくお願いいします。』
ツバサ
『まずは村上組の公式戦初勝利、本当に嬉しかったです。スタメンが3人いない、そしてその中の2人がキャプテンとバイスキャプテンというとんでもない逆境の中、チーム全員が一つになり我武者羅になって闘って得た勝利だったと思います。
特に自分たちよりも体の大きい相手に対してダブルタックルで向こう側に倒す。ということをチームで意識してずっと練習してきたのでそれが達成できたことは非常に嬉しかったです。
ですがたくさんの課題があることも事実なので次の横須賀総合高校に向けてチーム一丸となって最高の準備をしていきたいと思います。』
ヒナト
『正直かなり不安なゲームでした。いつもとポジションが違う選手が何人もいて、試合前日なのに確認しなければならないことがたくさんあるという事態でキックオフ直前まで不安が隠せませんでした。実際ゲームでも自陣でプレーしている時の方が多かった気がしますが、コンタクト面で負けずに戦えたのでいい結果がついてきてよかったです。次はこの大会で倒そうと目標にしている横須賀総合戦です。応援よろしくお願いします』
コウイチロウ
『終わった瞬間はとにかく嬉しかった。インフルでバイスキャプテン、シンタロウ、キャプテンまでもが倒れてもう絶望的だった。だけど勝てた。それは頼る人がいない分一人一人が責任をもって戦った結果だと思う。3人とも総合戦はきっと帰ってくる。そこでも今回みたいに一人一人が責任をもち、全員で戦いたい。』
ユタカ
『勝利することができて嬉しいです。試合2日前にフランカーとして出場が決まった時は本当に驚きました。短い期間で自分にできるかという不安がありましたが、「タックルとスイープ」この2つを考えてプレーをすることができました。ただ考えすぎて視野が狭くなるといういつもの悪い癖が何度も出てしまいました。自分が直すべき課題はまだまだたくさんあるので日々の練習に励んでいきたいと思います。』
決勝の相手は横須賀総合。新人戦でベスト8入りを果たした修悠館(自衛隊高等工科学校)に競り勝ってきた(修悠館は主力の多くを温存して痛い目に遭った…)。
「2月に横須賀総合に勝つ」
村上組発足直後、自分たちを最低ラインからのスタートと想定して立てた年間計画の最初のターゲットがこのゲームだ。僅か1試合で大きな自信をつけたメンバーたちのもとに、きっと主力の3名も復帰できる。チームとして一皮むけるチャンスが今、訪れている。
1月28日、横須賀市大会追浜高校戦。2日前にバイスキャプテンが、前日朝に攻守の重要な柱の選手が、夕方にキャプテンが、インフルエンザを発症してチームから離脱した。
追浜高校は、昨年まで5年間チームを指導した堀江先生の情熱と学習意欲が生徒たちにも伝播し、急成長を果たした好チーム。特に今年の県内での評判は極めて高く、横須賀が初戦で山手学院に敗北している間、3回戦まで勝ち進み、福岡サニックスワールドユース予選会で優勝したばかりの東海大相模から10点を奪っている。実は1年前のこの大会、あのタレント豊富な塩島組が追浜に勝利したスコアは、実は僅か「5-0」だった。
この相関性から、ベストメンバーであっても「うちがチャレンジャー」と意思統一して臨むべき相手だった。そんな試合の直前、インフルエンザにチームの両手両足がもぎ取られるかのように、戦力を大きく失った。FWバイスを失ったときに不安に包まれ、続いて重要な柱の選手を失ったとき、敗戦の恐怖が広がった。そしてキャプテンを失ってもう開き直おるしかなくなったとき、「負けるかも」の恐怖は「勝ってやる」に変わった。
『これほどの逆境を跳ね返して勝ったら、めっちゃカッコいいぜ』
気持ちと景色は晴れた。ベストメンバーでも負ける恐怖があったのに、これほど戦力ダウンしたメンバーになったら、なぜか勝ちそうな気がしてきたのだ。キックオフの18時間前に決まったメンバーは、初スタメンが3名、初ポジションが3名、初出場が5名。
キックオフ直後に連係ミスから相手の突破を許し、あわやノーホイッスルトライかという最悪の出だしだった。初尽くしの急造メンバー。システム的には上手く戦えるわけがない。しかし追浜高校を事前に分析し、このゲームでフォーカスした部分だけは譲らずにシンプルに戦い続けた。タックルとブレイクダウン。1年生が6/8を占めるFWは格闘の部分で自分たちより大きな相手に全く譲らず、優位に立った。
「横須賀のタックルは違う」
代は変われど、横高が他チーム関係者から何年も言われ続けてきたセリフを思い出した。この試合のタックルは確かに、魂のこもった「横須賀のタックル」だった。
勝利が確定的となってから全リザーブを投入した後にトライを許したものの、「15-7」でノーサイド。とんでもない逆境をそれは見事に乗り越えてみせた。
この逆境においてなぜ急に勝てる気がしたのか。きっとそれは選手たちがゲームの準備をする姿にもあった。自主決定自主運営を進化させる村上組は、日常から特定の個人に頼らず多くの選手がリーダーシップを発揮し、物事を進める力がついている。キャプテンとバイスを欠いても、ツバサやケンタロウ、ハヤトらがまるでキャプテンかのようにリーダーシップを発揮していた。動揺やパニックは全く目立たなかった。
自主路線の成果はそれだけにとどまらなかった。こちらの想像を超えた素晴らしい光景は、3トライ目のコウイチロウのトライ。スクラムを組むまさに直前、SHのヒナトがスペースと相手の特性から瞬間的にサインプレーを考案し、コウイチロウに告げた。そのイメージ通りにヒナトは相手を絶妙に引き付けると、コウイチロウの長所を引き出すスペースへパス。DFに触れられることなく、勝負ありのトライを決めた。「やらされるラグビー」では決して生まれない、かつて記憶のない素晴らしいプロセスを経たトライだった。
ハヤト(ゲームキャプテン)
『今回の試合はキャプテンとバイスがいないなかで、一人一人がリーダーとなって試合に望む必要がありました。結果としては勝つことができましたが、チームとしても個人としても課題はあるので、そこをこの一週間で修正し、万全の状態で総合戦に臨みます。応援よろしくお願いいします。』
ツバサ
『まずは村上組の公式戦初勝利、本当に嬉しかったです。スタメンが3人いない、そしてその中の2人がキャプテンとバイスキャプテンというとんでもない逆境の中、チーム全員が一つになり我武者羅になって闘って得た勝利だったと思います。
特に自分たちよりも体の大きい相手に対してダブルタックルで向こう側に倒す。ということをチームで意識してずっと練習してきたのでそれが達成できたことは非常に嬉しかったです。
ですがたくさんの課題があることも事実なので次の横須賀総合高校に向けてチーム一丸となって最高の準備をしていきたいと思います。』
ヒナト
『正直かなり不安なゲームでした。いつもとポジションが違う選手が何人もいて、試合前日なのに確認しなければならないことがたくさんあるという事態でキックオフ直前まで不安が隠せませんでした。実際ゲームでも自陣でプレーしている時の方が多かった気がしますが、コンタクト面で負けずに戦えたのでいい結果がついてきてよかったです。次はこの大会で倒そうと目標にしている横須賀総合戦です。応援よろしくお願いします』
コウイチロウ
『終わった瞬間はとにかく嬉しかった。インフルでバイスキャプテン、シンタロウ、キャプテンまでもが倒れてもう絶望的だった。だけど勝てた。それは頼る人がいない分一人一人が責任をもって戦った結果だと思う。3人とも総合戦はきっと帰ってくる。そこでも今回みたいに一人一人が責任をもち、全員で戦いたい。』
ユタカ
『勝利することができて嬉しいです。試合2日前にフランカーとして出場が決まった時は本当に驚きました。短い期間で自分にできるかという不安がありましたが、「タックルとスイープ」この2つを考えてプレーをすることができました。ただ考えすぎて視野が狭くなるといういつもの悪い癖が何度も出てしまいました。自分が直すべき課題はまだまだたくさんあるので日々の練習に励んでいきたいと思います。』
決勝の相手は横須賀総合。新人戦でベスト8入りを果たした修悠館(自衛隊高等工科学校)に競り勝ってきた(修悠館は主力の多くを温存して痛い目に遭った…)。
「2月に横須賀総合に勝つ」
村上組発足直後、自分たちを最低ラインからのスタートと想定して立てた年間計画の最初のターゲットがこのゲームだ。僅か1試合で大きな自信をつけたメンバーたちのもとに、きっと主力の3名も復帰できる。チームとして一皮むけるチャンスが今、訪れている。
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