神奈川県立横須賀高校ラグビー部

　５月～７月、この３ヶ月で実はシード校６チーム（桐蔭、慶応以外すべて）と練習試合もしくは合同練習を組んでいる。そんな怒涛のシード巡業の第３戦目として、５月２２日は県ナンバー３の湘南工大附属高校との合同練習および下級生試合を行った。

　湘南工大附属（以下、湘工）といえば、県内トップクラスの『高度なラインＤＦ』『緻密なゲームメイク』『巧みなジャッカル技術』を特徴とするチームだ。知将・大池監督によって叩き込まれたスキルと戦術。日藤小沢監督のもとにスクラムノウハウを求めて行ったように、この日も『体感して学び取る』ためのビッグチャレンジだ。

　前半は合同練習。FWはスクラム、BKはラインの攻防。FWは小沢さん直伝スクラムが少しだけ形になりつつあることを証明し、今後の「数（多く）の組み込み」次第ではシードに通用するスクラムが組めるイメージをつかむことができた。BKはというと収穫大。湘工の期待通り想定通りの鉄壁のＤＦは、こちらがこれからアタックデザインを考案していく際の基準となってくれた。

もってぃー

『チームとしては、2次・3次のATはもちろん、1次でもバックスとしてやりたかったサインプレーが出来なかったです。自分の指示が無くてFW（くわまんとか）を単体でだしてしまって、球残しが悪くターンオーバーされるケースが多かったです。個人のスキルとしては全然SHとして機能してないし、役立たずだったのでパス練習あるのみだと思いました。県屈指のDFということで、DFの間を簡単に抜かせてくれる場面は全くと言っていいほどなかったし、こういうチームにこそ半身ずらして裏に出るプレーが大事になってくるんだなぁ、と思いました。お手本のようなDFだったので勉強になりました。』

　後半部分は下級生中心のＢマッチ。２年生主体の中で、１年生５人が「高校ラグビーデビュー」を果たした。内容はというと、アタックやキックチェイス、カウンターなどは未熟で見所もないが、現段階ではまったく着手していないのでやむを得ず。それでもＤＦに関しては、「低いタックル」「仕掛けるＤＦ」など、これからやろうとしているイメージに近いプレーが随所に見られた。試合はまったくの五分五分の展開。「10-14」で迎えたラストワンプレー。逆転サヨナラでインゴールに飛び込んだかと思いきや、タッチラインを踏んでいて無念のノーサイド。チームとしては収穫大、各個人としては反省大の、有意義な試合となった。

TI （写真右）

『神奈川で３位のチームとの合同練習ということで、自分達の力がどれだけ通用するかと思いましたが日藤との練習の成果なのかスクラムは通じるところはありました。またＤＦ面ではいろいろと学べる部分があったと思うので学校でもやってみたいと思いました。』

まっすー （写真中央）

『今日の試合では上級生として初めての試合だったので、自分のことだけではなく周りのことも意識して試合に臨みました。試合中、あまりタックルに入れませんでしたが、一本だけ昨日の目標であったスピードをつけてタックルをすることできました。もっともっと精度を上げられるよう頑張ります！』

くわまん （写真左）

『今日の試合では、ろくにタックルにも入れず、チームの足を引っ張ってしまいました。もっと筋トレ・走り込みを増やして、負けない体を作っていきたいです。』

JP（デビュー戦で見事な初トライ！）

『初の15人制試合は、とても辛く、全く走れませんでした。でもその分トライできた時の喜びは一入で、とても楽しかったです。』

イッチー

『とにかく課題の残った試合でした。自分がこれからどんなことをしていけばよいのかがはっきりしたので、気合い入れて練習に取り組んでいきます。また初めて15人制ラグビーを体験できて楽しかったです。』

　この日は２年生全員が出場したのに加え、１年生５名がデビューした。普段は出場機会が少ない下級生。確かに３年生になったら必然的にレギュラーになれるかもしれない。しかし「順番待ちのレギュラー」なんてどう考えてもかっこ悪い。３年生がいるうちにレギュラーは奪い取るものだ。

　だからこそ、日々の練習で激しく３年生に挑んでほしい。やりすぎて険悪な雰囲気が流れればナイス。プレー後に胸ぐらのつかみ合いになりそうにでもなればエクセレント。もちろん、３年生はすべての挑戦を返り討ちにして、叩きのめしてしてやらないと。そんな闘争と意地の張り合いが当たり前のようにグランドの光景となったとき、真のチームワークも生まれる。シードに挑む本物の集団になりえる。馴れ合いの生ぬるい空気など、もうグランドでは絶滅させよう。花園予選でシードに挑戦する前に、まずは日常の横高グランド内で本気の勝負をしていこう。