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好敵手から同志へ 『柏陽高校合同練習』

2010/10/13

 好敵手の存在は、つくづくありがたい。刺激と成長、そして様々な感情的な何かを与えてくれる。あの「5対5」の激闘から半年の月日が流れた(http://hrfc.d2.r-cms.jp/topics_detail1/id=136 )) )。それぞれが心身と技術を鍛え、「あのころの俺たちとは違う」の自信を持っている。地上で最も負けたくない相手。10月9・10・11日の3連休、花園予選前の最後の調整として、好敵手・柏陽高校と合同練習を行った。



1日目
 土砂降りの予報。午前2時間、午後2時間の二部練の予定だったが、すでに雨が降り始めているため、「いけるところまで一部練」に変更。ウォーミングアップからお互いを意識し合う気合いの雄叫びがグランド上空でぶつかり合う。15対15の実戦形式練習。状況の詳細はここでは書けないが、一進一退の勝負。
 手の内が分かっていない序盤に、イメージ通りの攻撃でトライを奪えたことで、戦術への確信を強めることができた。しかし柏陽の考え抜かれた無駄のない戦術に、たびたび相手の意図通りに崩されてしまった。
 締めはスクラム1本勝負。全部員が見守る中の意地とプライドをかけた勝負。結果は横高の完勝。柏陽のプロップが地面を悔しさで殴りつけた。火花が飛び散りまくった初日が終了。時計を見ると14時。練習開始からあっという間に4時間が経過していた。

 

2日目
 昨夜から延々と大雨が降り続いている。関東圏内のほぼすべての屋外スポーツが中止されたに違いない悪天候の中、この日も合同練習を決行した。土砂降りの日に練習をすることが必ずしも正しいとは思わない。風邪などのリスクを考えると、時と場合によってはやらない方が正しいだろう。しかしそれでも強行する場合、個人的には人生を大きく左右するに違いないエッセンスが凝縮される貴重な練習だと確信している。チームとしてではなく、個人の根源にある何かを変える大チャンス。そんな思いと期待を抱き、グランドに立った。

 と、そこまで考え抜いてワクワクしてグランドに立ったのに、天気予報を大きく裏切り、雨がパタリと止んでしまった。少々残念な気持ちを持ちつつ、練習を開始した。この日は15対15をゲームと同じ強度で行った。田んぼのようなグランドコンディションでのゲームメイク。序盤こそミスを切り口に相手の強みにはまってしまったものに、試合時間のほとんどを支配し(それでもなかなかスコアさせてくれないが)、優勢を最後まで保つことができた。この日の締めはラインアウト勝負。お互いのサインやセオリーをぶつけ合い、「こう来たらこうする。ならば…。ならば…。」と問答を重ね、お互いの質を高めることができた。ラスト5本勝負は延長の末、横高が制した。


柏陽保護者の皆様、美味しいカレーライスご馳走様でした!!






 
3日目
 久々の好天。最終日ということもあり、この日は「戦う場面」と「団結する場面」を明確に分け、ウォームアップはまるで一つのチームのように合同で同じことを行った。そしていよいよ最後の15対15。この2日間、ごく僅かな差ながらも押され気味だった柏陽からは、公式戦時以上かもしれない気迫が漲っている。この好敵手が放つ気迫に対し、横高は完全にやられてしまった。「上手さは狂気をかわせない」どこかで聞き、頭にこびりついているフレーズ。確かに柏陽の攻撃は理にかなったテクニカルなものだ。が、この日のアタックには、研ぎ澄まされた集中力と狂気ともいえる気迫が漲っていた。それに対し、横高は「いつも通りの元気と気合い」程度。DFは切り刻まれ、ATもミスを連発して完封されてハーフタイム。

 好敵手にやられっ放しで納得できるわけもがない。3トライ取られたなら4トライ取り返す以外ありえない。横高の勝負意識も究極レベルに上がり、練習であることなど誰もが完全に忘れ去った。結果だけにこだわり、凄まじい気迫で戦った。いいようにやられた前半部分の借りをちょうど返したあたりで終了。3日連続で行っている1年生試合へと移った。


 そして最後はやっぱりスクラム1本勝負。初日のスクラム練習と締めの1本勝負では完全に横高優勢だったこともあり、柏陽プロップに念のため意志を確認した。もちろん、何の迷いもなく「やらせてください」の一言。この1本勝負で柏陽が負けた場合は、彼らはどう総括するのだろう?立ち直れるのか?初日の完勝っぷりから考えると、柏陽のことが若干心配になった。「クラウチ、タッチ、ポーズ、エンゲージ!!」取り囲む50人以上の気迫を乗せた8対8が激しい音を立てて衝突。ヒットの瞬間に30cmほど横高が押し込んだ。この時点で、ほぼ勝負あった。…はずだった。次の瞬間、2日前に地面を殴りつけた柏陽プロップが横高スクラムに全身全霊をねじ込み猛プッシュ。最後の1本勝負は、柏陽に軍配が上がった。人目をはばからずに大粒の涙を流し、絶叫して抱き合う柏陽の選手。3日間の激闘が終わった。


ダイスケ
『今回柏陽高校と合同練習を3日間やらせてもらいました。合同練習という形でも、試合のように本気でプレーし声を出し、互いに気持ちを出しあえるような相手で花園予選前にいい刺激になりました。トーナメント上では対戦相手になるけど同じ公立校で同じ先生、コーチに教わり一つのチームとなれていると思います。柏陽にやられてしまった部分があるので共に勝ち上がってリベンジをしたいです。
花園予選が近づいて雰囲気も変わり、思うことが一つあります。横須賀高校で出来る限り、長く続けていけるようにしたいです。横須賀高校だからこそ勝ちたいです。』



ボビー
『まず最初に、この時期にリアルな練習の相手をしていただいた柏陽のみなさん、本当にありがとうございました。この3日間でお互いの高校に強い信頼関係が生まれたと思います。なので、これからもよろしくお願いします。この3日間の練習が本番でなくて良かったと思うことが何回かあった。そこを修正して本番に挑みたいです。それにしても本当に疲れた。いよいよ今週末から花園予選が始まる。悔いのないよう、今までの練習の成果、自分の力を全て出し切って戦いたいです。』



てつ
『柏陽との合同練習は、きつい部分も多かったですが本当に充実していました。自分たちの甘かった部分や自信を持てる部分が明確になりました。柏陽のFWは、ラインアウトについては本当に深い考えがあり、花園予選直前にして、とても良い刺激をもらえました。3年にとって最後の大会。この合同練習でた課題を一つも残すことなく、最高の状態で予選に挑みたいです。』


ちば
『聞いていたとおり柏陽のマネージャーはレベルが高く感心しました。1年生も柏陽トレーナーの方からテーピングを学ぶことができて、すごく良い刺激をくれたと感謝しています。もうすぐ4人になってしまうけど、少ない機会を最大限に利用し様々なものを吸収して、柏陽のマネさんのような素敵なマネージャーになって欲しいです。試合前最後の1日練の日はとてもせつない気分でした。この3日間に最大の敬意をこめて、花園予選に挑みたいと思います。時間の流れが早すぎてこわいです。』 


 好敵手と戦い抜いた3日間、最大の収穫は最後の1本のスクラムかもしれない。年月をかけて心身を鍛えスキルを磨き続けたという事実があくまでも前提となるが、意地と誇りをかけ、崖っぷちに立ったときの決死の魂が生み出す力。「負けるわけにはいかない」という強固な激しい気持ちが生み出す力。今週土曜日、いよいよ花園予選が開幕する。勝負を分ける最後の最後がいったい何なのか。好敵手にして同志、柏陽高校が教えてくれた。あの1本のスクラムの借りは、花園予選で返すしかない。


 


 

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