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一次合宿 『レギュラーを目指すな』

2013/08/06

 夏休みに入っての1週目は、春光学園との交流と並行して個人練習。パスやキックなど時間と本数がかかる個人スキルを高めた。
 2週目は「一次合宿」と銘打った通いの合宿。私立校とは異なり、年間で4泊5日しか合宿ができない横高では、例年この時期に合宿気分で二部練を行っている。今年の一次合宿のテーマは『攻撃力アップ』。DFでは湘南工大を零封するなどある程度成果が出ているが、春からずっと得点力不足に苦しんでいる。


 ポテンシャルの高い1年生が加わり、ヒカルやチヒロなどの上級生も急成長。飛び抜けた選手がいない代ということもあるが、Aチームとして出場できる力のある選手が25名(全選手は41名)。菅平合宿をAチームメンバーとして戦うための、激しいレギュラー争いが連日繰り広げられた。


 合宿初日の相手は、埼玉県の本庄第一高校。部員数が15名いない本庄第一に練習試合と合同練習の依頼をしたのは、実は横高から。その理由は相手の古庄監督の存在だ。
 古庄監督は私にとって早稲田の1・4の後輩。選手として大学4年間活躍した後は、清宮早稲田の敏腕コーチとして、早稲田日本一の大きな要因となった。その後は母校・国学院栃木に教員として戻り、吉岡監督とともに全国屈指の好チームを作り上げた。この4月、国学院栃木を退職して本庄第一高校に就任。清宮早稲田とあのコクトチを知り尽くした頭脳、指導力。私自身が古庄監督から何かを吸収したい思いも強く、この日を計画した。
 そんな目論見は大当たり。練習試合後の合同練習では、こちらがリクエストしたパスワークとブレイクダウンについて、それは素晴らしいコーチングを受けることができた。最後はアフターファンクションで交流を深め、一次合宿初日を大満足で終えることができた。数年後に埼玉の強豪となっているに違いない本庄第一。これからもこの縁を大切にしたい。

 
 

 2日目の相手は、東京都の北園高校。大学時代の恩師でもあり私のバイブルとなっている藤島大さん(スポーツライター、ラグビー中継解説者)を経由しての合同練習依頼があった。『大さんが絡んでいるなら、きっと何かが得られるチームに違いない』と即決了解した。
 この日も午前中は試合と合同練習。午後は合同練習とアフターファンクション。試合も練習も相手の期待に応える程度の圧倒ができた。その中で、「こういうDFにはこう攻める」のセオリーを習得することができた。2日目も充実感を持って終了。

 
 3日目はアウェイで午前のみ。相手は毎年好チームを作る山手学院。A15名を除くBC26名の縦割り構成で試合に臨んだ。この日で「一次合宿終了!」とスッキリ打ち上げるつもりだったが・・・。残念ながらBCメンバーの出来が非常に悪い。
 スキルだけなら成長の跡は窺えるが、そんなことより「勇気と責任感がないプレー」を連発。横高ラグビーの命ともいえるタックルをしない選手が複数。体を当てずタッチラグビー状態。目を覆いたくなるような手のひらタックル・・・。アタックでもボールを持ち込んでは、相手につかまった瞬間にボールを捨てる始末。山手学院にいいようにゲームを支配されての完敗。シボリが始まっても、目的意識は薄く、「感情的に闘うシボリ」ではなく「やらされるシボリ」。

 試合後に行われたA対山手のアタックDFでも、横高を被った負の空気は払しょくできず。BCの試合中に50分間フィットネスを追い込んだことが響いたのか、集中力のないエラーを連発。「やる意味がない」時間となってしまった。
 円陣コールと拍手で締めるはずだった一次合宿。残念ながら「こんなんで終われるわけがない」。締めは持ち越され、翌日も激しく練習を行うことになってしまった。


 タイヨウ・兄弟対決!
 
 予定外の4日目。いよいよ菅平前の最後の練習。最低だった前日の空気を払しょくし、気持ちよく聖地に入りたい。ビデオミーティングでこの合宿中に信頼感を掴み取ったユウヤの特集映像(人知れず地味なファインプレー8連発!)を確認してからグランドへ。3時間以上、みっちりと一次合宿でやるべきことをやり尽くした。
 集中力のツメが甘いAのミスや、BCがAに本気でケンカを売る姿がまだ見られないのが不満だが、全体としてはポジティブでハードな、いい空気に包まれての練習となった。

ユウヤ
『僕がこの一次合宿で一番成長できたと思う点は、動き出そうとする意識です。練習からチーム全体で、歩かないという事を徹底した結果、試合中でも足を運び続ける事ができるようになりました。今後もこの意識を持ち続け、僕は特にアライブ、DFで信頼を得られるような選手になれるよう頑張ります。』

リョウ
僕は夏休みの始めに「Bのスタンドオフをやってもらう」と言われてうまくゲームを作れるのか、最初は正直不安でいっぱいでした。でも、くよくよしててもなにも始まらないし、むしろスタンドオフという新しいことに全力で挑戦してみようと思いこの夏休み中、一生懸命練習しました。その結果、まだまだダメなところはあるけど確実にうまくなっていると自分でも実感することができました。 菅平に登ってもっともっと成長してAチームに入りたいです。

ショウマ
僕はこの三日間の最大の敵は自分の中の恐怖心でした。タックルする、される恐怖がゲームが始まってから心の中に少しありました。でも、恐怖心があっては自分は上手くならない。下手になる。」と、自分の中の恐怖心を払い、どんなプレーにも怯えずに挑む決心をしました。自分はこの決心がつくまでの時間が遅かったので、ゲーム前にできていればもっとコンディションがよくなるので、ゲーム前の意識をもっとあげていくことが課題だと思いました』 

 プレー中に意識すべきポイントを絞り込んだ一次合宿。一人ひとりの動きをかつてないほど入念にビデオチェックした。実感をつかんだ選手、まだ今までと同じ意識でしかプレーできていない選手。一次合宿開始時点よりは25名の中で差がつき始めたが、激しいレギュラー争いは菅平合宿も続いていく。

 
 最後に、私が大学4年生時に早稲田大学ラグビー部文集「鉄笛」に書いた文章の一部分を。
 当時は、Aチームのメンバーとして何試合もアカクロジャージ(一軍の公式戦ジャージ)を経験した後、BやCでもがき苦しみ、ときにはコーチのせいにして腐ることもあった。いま横高の全部員にこのメッセージを伝えたい。

 
『鉄笛 早稲田大学ラグビー部報 1999年』
~後輩たちへ~
「アカクロを着ることを目標にするな」
私は「4年間頑張って一度でいいからアカクロジャージを着たい」と、入部当初そう思っていた。間違っていた。その目標では、アカクロを着ることが決まった瞬間、心の底に「満足」というものを持ってしまうからだ。
早稲田の目標は日本一である。つまり、相手校を倒すことである。相手校を倒すためには、メンバー22名は飢えた狼でなければならないだろう。相手選手が目の前を通り過ぎると喉元に噛みつき、喰いちぎる狂気。そこにはアカクロという個人の目標を達成して満足している「満腹な狼」はいてはならないのである。
Aチームになることを目標にしてはいけない。CチームからFチームに落ちようが、決して悩む必要もない。大切なのは、明治や関東学院を倒すレベルまで自分を高めること。そのレベルにいないのなら、AもBもFも同じだ。
決して驕るな。決して自惚れるな。決して諦めるな。一歩ずつ、一歩ずつ、地を踏みしめて突き進め。』



↓ 3日ともアフターファンクションを行いました。 本庄第一高校さん、北園高校さん、山手学院さん、ありがとうございました!
 



おまけ↓ 「卒業生の皆さん、後輩が待ってます!頻繁に顔だしてください!」


 

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