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横須賀総合戦 『証』

2014/09/20

 前日のジャージ授与式、3年生のリザーブ選手が涙声で絞り出した。
『横総には入学以来、屈辱感しか与えられていない。明日は3年分の屈辱感を相手に重ねつけてやろう。』
 過剰な緊張はすまいと誰もがリラックスを意識していたミーティングの空気の色が、そのときはっきりと変わった。闘争のスイッチが入った。
 
 現3年生は、横高の数倍の数の経験者が大量入部した横須賀総合の待望の代。対して横高は経験者2名しか入部しなかった(現在は3名)。「総合 待望の代」と「横高 試練の代」。1年生の春、この構図から始まった。1年生初試合(セブンス)では順当に完膚なきほどの大敗。3年次になってもセブンスとはいえ完敗を喫した。
 今年2月の15人制市大会は、「13対13」のドロー。津田キャプテンら主軸数名を欠いてのドローは、実は相当な「上出来」だった。1年生時は遥か上にいた総合が、背中が見えたどころか掴めば追い抜ける眼前にいる実感を得た。試合直後、着替えて引き上げる総合の選手たちのあえて面前で、シボリ練習を行った。あれは秋に勝つための精神的な戦略だった。
 
 9月20日、2年半も戦い続けたライバルとの最後の勝負、横須賀総合戦(横須賀市大会決勝)が行われた。2月とは異なり、35名けが人なし。勝利の準備は万端。
 とはいえ、あの2月の引き分け以降、横高だけでなく総合も間違いなく努力してきた。優れた指導陣と実直な選手たちの揃うチームだ。質の高い試行錯誤と練磨を重ねてきたことだろう。尊敬すべきライバルとの勝負は、五分五分の展開を予想した。

 この日のゲームテーマは「コントロール」。ゲーム中の全てのプレーを判断材料とし、ゲームを理詰めでコントロールいくこと。決戦の中でのメンタルを最適にコントロールすることだ。気合いと泥根性だけで引き分けに持ち込んだ2月からの進化を証明したい。
 
 11時キックオフ。試合は横須賀総合の先制トライで始まった。追いつく横須賀、さらに突き放す総合、しかし追いつく横須賀。14-14でハーフタイム。なんとこれで2月から通算80分経過しても同点。駆け引きとコントロールが求められる、心から楽しいゲームだ。

 後半、横高が落ち着きと闘志の両立するメンタルでゲームを決めた。時々ミスはあるのもの、切り替えが早く引きずらない。見事と言ってもいいほどの集中力と判断力でゲームを支配した。
 最終スコアは「36-14」。2月から合計110分の、いや2年半のライバルとの決戦を完勝のスコアで制した。



 この勝利の持つ意味は大きい。すなわち証。手も足も何も出なかった1年生春からの歩みが正しかった証。2月の引き分けから、春を越え夏を越え、地道に重ねた基礎練習が正しかったという証。適切なゲームコントロールとメンタルコントロールが自分たちの力を最大限に引き出すという証。入学時のビハインドもキックオフ後のビハインドも、横高らしく信じて戦えばひっくり返すことだってできるのだという証。
 横須賀総合というライバルに磨かれたおかげで、津田組はこの勝利でまた一回り強くなることができた。
 
津田
『今回の試合は自分達の代が一度も勝てたことがない総合に勝つ最後のチャンスでした。そのためにフィットネス期間を乗り越え、戦術の反復をしました。しかし総合のこの試合への気持ちも強く、先制トライを許し、前半は同点で折り返しました。このような試合で後半に点差をつけて勝ちきれたのは、今までやってきた事から身に付いた力や自信のお蔭だと思います。個人としては試合中に問題点を解決するという事をもっと意識して、チームの流れを作れるようにしていきたいです。』

シュンスケ
『一年生の時からずっと顔を合わせてきた横須賀総合さんには、津田組は一度も勝ったことがありませんでした。私たちのそれをはるかに凌駕する技術の前に、歯が立ちませんでした。
しかし、今回初めて勝つことができました。高校から始めたメンバーの活躍が試合を決めてくれたのは誰の目にも明らかだったと思います。
秋大会まで時間はありませんが、高く設定した目標に向けて、皆の努力に負けないように自分も頑張っていきます。応援よろしくお願いします。』

わかな
『みんなの気合がすごく伝わってくる迫力のある試合でした!前半は少しどきどきしましたが、後半の圧倒は本当にかっこよかったです!!
横総には1年生のときから悔しい思いをさせられていただけに、津田組にとって今回の勝利はまた特別なものだったと思います。ほんっとうに嬉しいです。花園予選が楽しみです!』

ちか
『最後の市大会、しっかり勝ってくれたみんなが本当に誇らしいです。最後までドキドキしながら外から見てました。勝てたことが1番嬉しいのですが、何より大きな怪我がなくてほんとに安心しました。この勝利を弾みに花園予選までの残りわずかな期間、みんなで頑張っていきたいです。』

 

 いよいよ津田組最後の戦いが始まる。10月26日、花園予選3回戦までに残された1ヶ月と1週。今日確かに掴んだ上昇気流に乗って、まだまだ強くなれる。
 

おまけ
大学ラグビーでOBが活躍しています!関東対抗戦1部、立教大学の選手として岩田健太が秩父宮デビューを果たしました(帝京戦)。
同じく明治学院大の金本和也(岩田組HO)も秩父宮で行われた早稲田戦でメンバー入り(惜しくも出場はならず)。
青山学院大学の熊坂大輔(熊坂組)もスタメンとして定着しており、来週秩父宮の慶應戦でプレーすることは濃厚です。
日本ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場でプレーするというのは、全ラグビー人間の憧れです。努力に敬服します!頑張れ!


 

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