神奈川県立横須賀高校ラグビー部
花園予選開幕 『躍動せぬ完勝』
2015/10/12
この日の曇天の如く、躍らぬ勝利。最終スコア「30-0」が示す通りの完勝。宇野組花園予選1回戦・鎌倉学園戦は、終始一貫して固くゲームを支配しての勝利となった。
週間天気予報の段階から、天候に応じて概ね3つのパターンを準備していた。当日朝、アップ開始直前まで降り続いた雨でグランドコンディションは、最悪想定に近い。元々天候に関わらず限定的なサインとアタック方法で臨むつもりだったが、このコンディションを確認し、リーダー陣でさらに絞り込んだ。
練習試合とも他の公式戦とも全く訳が違う。お互い負けたら高校ラグビーが終わってしまう。命がけでタックルをするし、過度の緊張で冷静さを欠きエラーも犯す。それが花園予選。
「天候」「花園予選の初戦であること」そして「相手が前津田組の新人戦で、ロスタイム逆転サヨナラ勝ちという恐怖を与えられた相手であること」を考慮し、スコアや派手さよりも、「絶対に負けない」ゲームプランを選んだ。
ゲーム運びは、まるでワールドカップ仕様。焦らず、無理せず、近年最多と言って間違いない数のPGを狙って得点を重ねた。チャレンジャーとして決死の覚悟で臨んでくる相手に対し、無理を冒しては気迫と勢いの餌食になる。取れるスコアを確実な手段で重ねる。地味に作り上げた「逆転不可能なスコア」の雰囲気は、リードする側の過緊張を取り去り、追う側に無意識の諦めを生む。ここから一気にゲームが傾く。
この一線を無視して無理にアタックをすると、せっかく引き離して決めかけたはずのゲームが再び活き返る。リードする側には緊張が、追う側には勢いが生まれてしまう。そんな展開はまさにワールドカップで繰り返されている。
最後まで丁寧に丁寧にスコアと時間を進め、失点の気配なく快勝。抑圧感やフラストレーションは最後まで解放されなかったが、この日はこの日の勝ち方を貫いた。
アキヒコ(ブログコーナーにオール神奈川・国体体験記あり)
『天候が悪いなかたくさんの応援ありがとうございました。3年生にとって最後の大会であり1年間の総決算となる花園予選が開幕しました。初戦の鎌倉学園戦ではゲームに停滞感がありましたが勝ちきれた事は本当に良かったと思います。次の追浜戦へ向けて個人もチームもこの試合の課題を修正し、最高の結果を残したいと思います。応援よろしくお願いします!』
ショウ
『たくさんの応援ありがとうございました。まず初戦を突破することができ、とてもうれしいです。ですが、ゴール前でのアタックやセットプレーの向上などまだまだできることがあるので次に活かして行きたいです。鎌倉学園の気持ちを背負って次の試合に臨みたいと思います。引き続き応援お願いします。』
択海
『個人としては満足のいくプレーはできなかったのですが、チームとして初戦を突破できたのはとても嬉しいです。自分はいままでチームにたくさん迷惑をかけてきました。3年にとっては最後の大会、2年半の集大成。自分たちが積み重ねてきたものを信じて、全てを賭けてこれからの試合も戦って行きたいと思います。』
想像通り、鎌倉学園は見事なチームだった。アップ開始より遥か前、私の姿を見るや澄んだ目で近づき、「宜しくお願いします」と自ら右手を差し出してきたキャプテン。きっと素晴らしいチームだと、その時点で確信できた。タックルタックルまたタックル。闘志溢れる戦いぶりは見事だった。打倒横高に燃え、悲壮感溢れるハードワークを重ねているという話は監督から聞いていた。
ノーサイド直後の一礼、キャプテンが声を抑えることができずに泣いていた。この素晴らしきチームの想いを背負って次戦を戦いたいと、心から思えた。
さて、開幕までの2週間、実に刺激的な過ごし方をしてきた。
9月26日、ラグビー界のスターが大津グランドに。
この日は他校との合同練習。なんと相手のスポットコーチとして来ていたのは、あの今泉清さん(早稲田→サントリー→JAPAN)。1年生時から早明戦などで大活躍。ラグビー人気を作り出したといっても過言ではないスーパースターだった方だ。今泉さんのゴールキックのとき、国立競技場の大観衆が敵味方なく「イ~チ、二~、サ~ン、シ~、ゴ!」と声を合わせた光景が懐かしい。僅かな時間ながら、横高もアドバイスをいただくことができた。
https://www.youtube.com/watch?v=jHlBcp3_wiU
↑の2分40秒が今泉さんのゴールキックです。
https://www.youtube.com/watch?v=yT3vjCW3w1o
9月29日 スーパーフィットネス期間 開始
ここから10日間、花園予選の決戦を闘い抜ける心と体を創り上げる猛練習。ゲームで求められるランニングフィットネス、コンタクトフィットネス、判断力、正確なプレー、コミュニケーションなどが全て凝縮されたメニューが、次から次へとハイテンポで121分。グランドを使えない日は、OBなら分かるであろう「坂ロング」を30本(所要時間は100分程度)。フィジカル、フィットネスとともに、メンタルとチームワークを鍛えた。
10月8日 サプライズ劇場!
スーパーフィットネス期間の最終日は木曜日。つまりグランドが使えず、坂を走る日だ。ウォームアップ前にホワイトボードに記されたメニューは「坂ロング10本→コンフィ5分→スキル5分」の3周、やっぱり121分。選手たちはきっと逃げ出したい気持ちでウォームアップを行った。
ところが実はこの日の予定は「サプライズ」だった。昼休みからマネージャーが80皿分のカレーライスを調理室で作って準備完了。
ウォームアップを終え、まるで地獄のふもとに近付くような気持ちで坂の入り口に集まった。「やるしかない」「笑うしかない」「無の境地」選手によって、これから迎えるつもりの121分に対して、それぞれの覚悟をした。
「よし、じゃあ最後にもう一度メニューを確認しよう」
掲げられたホワイトボードの文字は、いつの間にか書き換えられていた。大歓声とともに、抱き合い、倒れ、半泣きした。
https://youtu.be/8ckDViUOgjI (サプライズ瞬間の動画!)
怯え、上下に揺さぶられたハートに染み入るようなマネージャーの作った優しいカレーライス。「チームワーク強化」というこの日のターゲットは、十分に達せられただろう。
キャプテンから一人ひとりに、文集『坂東武者』を配布
10月9日 大きな激励、来たる。
鎌倉学園戦2日前、今まで何度も来ては力になってくれている超大物ゲストコーチが横高に来てくれた。大峯功三さん。昨年まで早稲田大学でキャプテンを務め、今は早稲田のフルタイムコーチとして打倒帝京に燃える日々を送っている。
「激励に!」ということだったが、吸収できるものは何でも吸収したい。今回はラインアウトに関して、非常に有意義なコーチングを受けることができた。練習後も下校時間ぎりぎりまで大峯さんを生徒たちが取り囲み、様々な質問をしていた。本当に感謝。
野球部からの今年も激励挨拶と坂東武者斉唱。ありがとう!
年に一度のスクラム決戦 『3年生対下級生』 勝負は1対1の後の3本目に決まりました!
https://youtu.be/49WInZId1eY
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