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This is Rugby. マルボロカレッジ(英国)との国際交流・親善試合

2016/08/07

 今年も天から幸運が舞い込んできた。昨年の9月のセントポールズ戦に続き、今年も日英親善試合としてイギリスのチームと対戦することができた。昨年はこれぞラグビーの魅力という「ゲーム+アフターファンクション」で、ラグビーの真の楽しさを味わうとともに、ラグビー通じて世界と繋がる貴重な経験だった。

8月5日、YCACグランド マルボロカレッジと 
 今年の相手であるマルボロカレッジは、近年ではキャサリン妃やキャメロン首相夫人を輩出するなど、イギリス最高レベルの学力と資産を持たなければ入れないと言われている英国屈指の名門パブリックスクール(伝統私学)。

8月1日、横須賀高校来校 
 日本ラグビー発祥の地と言われているYC&AC(横浜カントリー&アスレチッククラブ)の前身となるクラブの創立にも多くのOBが関わっており、ラグビーを始めとする様々な近代欧州スポーツが日本に広まることに関して、最も貢献をした学校とも言われている。
 U18チーム、U16チームの合計47人の生徒と7名のスタッフで7月25日に来日し、菅平や京都、広島などで試合と観光を行い、ツアー最終戦として横須賀高校と対戦した。
 
 さらに、今年はゲームだけでなく、様々な文化交流やホームステイ、グループでの鎌倉観光など濃密な交流を行った。
「ラグビー部の交流試合」から始まった企画だったが、ホームステイの決定を機に活動の可能性は広がり、ついには弓道部、剣道部、茶道部、書道部、ソフトボール部、ダンス部、英語同好会などを巻き込んだ学校を挙げての国際交流事業へと発展した。

 それは、文部科学省が管轄するSSH(スーパーサイエンスハイスクール、今年から横須賀高校が認定)事業としての本校の取り組みのインパクトともなり、県という行政サイドからもこのイベントに対する大きな支援を得ることができた。
 
~7月25日 マルボロカレッジ来日 菅平、京都などで試合と観光~
8月1日 マルボロカレッジ、横須賀高校来校 文化交流
①ウェルカムレセプション ダンス部によるパフォーマンスでお迎え
②3グループに分かれ、弓道、茶道、書道を経験
③2グループに再編成し、剣道と野球を経験
②③ともにローテーションで全員全活動を経験

ダンス部のパフォーマンスでお迎え

ウェルカムパーティー。九石校長よりご挨拶。




全員防具をつけて実戦。楽しそうでしたが、パワーがありすぎて竹刀が次々に粉砕…。


相手のヘッドコーチであるバッジを剣道でコテンパンにしてあげました。マルボロの生徒たちは大盛り上がり。

④学食で一緒に昼食。蕎麦、うどん、天婦羅
  この日が誕生日のベンジャミンのサプライズ誕生パーティー
⑤ラグビー部と混ざって数人グループを編成し、鎌倉観光
⑥ホームステイ。ラグビー部(30人)、OB(見山、大谷で4名受入)、横須賀ラグビースクール(13人)
⑦翌日、グループで自由に観光した後、昼過ぎに早稲田実業まで届け、試合観戦。

ベンジャミンのサプライズ誕生会!

ミチ
英語が苦手な僕にとって、Marlborough collegeとの交流は難しいものだと思っていました。やはり最初は緊張もして、なかなか話しかけることもできませんでした。しかし、ソフトボールで塁に止まってる時など彼らと一緒にいる時に、自分から話しかけてみて、段々とコミュニケーションをとることができるようになりました。そこからは全く緊張しませんでした。

一緒に昼を食べた時も、時々聞き取れないこともありましたが、仲良く話すことができました。鎌倉観光もずっと話しながら歩くほどに成長できたと思います。今回の交流で、人間として成長するとともに、英語に興味と、自信を少し持つことができました。

ツバサ
僕は英語が苦手なので鎌倉観光を楽しめるか、楽しませることができるか不安でした。ですがマルボロの生徒たちが簡単な英語を使い話しかけてくれたり、自ら楽しもうと色々質問を投げかけたりしてくれたおかげでとても楽しい鎌倉観光になりました。よく行くことが多い鎌倉ですがその日の鎌倉は一段と輝いて見えたような気がします。最高の思い出になりました。


リョウ
今回、ホームステイの受け入れをしてとてもいい経験ができました。僕は外国にホームステイしに行ったことはありますが受け入れは初めてだったので、最初は英語がうまく通じるかな?とか、喜んでくれるかな?と心配でした。けど一緒に鎌倉を観光したり、片言の英語でラグビーのポジションやチームの話題で盛り上がったり、やっぱりラグビーというものは国を越えるんだなぁーと思いました。

ゲストの子とは三日間という短い時間の中で一生の友達になることができました。また、このような機会があればぜひ受け入れをしたいと思います!


ホームステイのおかげで、スタッフはツアー中で唯一の自由時間。
中央酒場で国際交流。真ん中は剣を交えたバッジと。
 


8月5日、YCACで再開して日英親善試合
 ゲームに関しては、かつてこれほど「タラレバ」だらけの試合はなかったのかもしれない。それほどアンフォーストエラー(プレッシャーのない場面でのミス)が多発し、「あと一歩」というより「完全な勝ち試合がするりと抜け落ちた」結果となった。

今年もオリジナルハカ『坂東武者』。昨年より精度が上がりました。↓ハカ動画
https://youtu.be/3H3FT2Cvv4w
 自分たちよりも3周りは大きな相手に対し、横須賀の先輩たちから継承したと胸を張れるほど、魂のこもったDFだった。想定したゲームとは異なり「普通にやれば勝てる」の感覚を途中で持ってしまったことが、むしろ緊張と焦りを生んでしまったのかもしれない。
 ラインアウトもスクラムも、全くプレッシャーはなかった。なのに、ノットストレート4回、スクラムキープミス4回。得点の起点となるセットプレーではっきりと優位に立っているのに、アンフォーストエラーを10近く繰り返して試合の主導権を放棄してしまった。


 他にも握れば勝ちが決まるチャンスを、自らのミスで放棄し続けた。後半15分、ユウトがインゴールに飛び込みダメ押しトライ。勝利が確信に変わったはずだった。まさかのスローフォワードの判定。両チームの選手たちも真横で見ていた観客も、全くそうは見えなかったという反応をした。しかし、これもラグビー。

 7-5のリードで迎えたラスト1プレー。ゴールを背負いながら死力を振り絞ってタックルするも、逆転サヨナラトライ。最終スコアは7-10。まるでマルボロのツアーが劇的に終わるための最高のシナリオのような幕切れ。結局ラインブレイクされたことはほぼなく、2トライとも自滅エラーでゴール前に迫られ、重さで押し切られたものだった。

 マルボロは、北信越チャンピオンで高校日本代表監督が率いる新潟工業を、菅平で33-17で倒していた。京都は単独高校の試合ではなく連合チームとのゲームだったが、東京ではあの久我山を春に下して関東大会ブロック優勝を果たした早稲田実業もやっつけていた。そんなマルボロに対し、「日本を驚かせよう」と覚悟を決めて決戦のつもりで臨んだ。この試合に限定した戦術を1ヶ月近く磨いてきた。負ける気配はほとんどなかったのに、ラストワンプレーで勝利がヒラリと抜け落ちた。悔しくて悔しくて、地面を殴りつけた。

キャプテン同士。神奈川県からスポーツ局の方もお見えになり、ギフトをいただきました。
 しかし冷静に考えると、やりたいことは何一つできていなかったのかもしれない。セットからトライを狙うはずが、前述のように延々と勝手にミスして攻撃権を放棄した。端の端まで順目に走り勝つつもりだったが、そんな場面はほとんどなかった。ゲーム中に感じた「思ったよりやれる」が、覚悟と割り切りを鈍らせたのかもしれない。勝つに値するアタックができなかった。勝者を心から称え、悔しさはこれからの糧にするしかない。
 
 U16ゲームは横須賀ラグビースクールと合同チームで。ただし全員出場。写真の選手は195㎝!
 アフターマッチファンクションを象徴とするように、ラグビーの味わいはグランドの外にも広がる(むしろ外にこそある?)。ラグビーをやっている、やっていたというだけで、世界中のどこの誰とでも、肩を抱き合い、ビールグラスを傾け、不思議な幸せ感に満ちた空間に身を浸すことができる。ラグビーにはその力が確かにある。
 「ラグビー」という世界共通言語により、会った瞬間から信頼関係がすでに出来上がっているような友情が芽生える。タックルという行いができる人間は信頼されるのだ。
 
 今回の友情は、さらに濃密だ。2日間、小グループでずっと行動を共にし、ホームステイを通じて家族となった。3日後に再開し、そんな相手を全力で跳ね飛ばし、突き刺さり、己の身体を武器として1時間前までの友もしくは家族を、今は敵として倒しにかかる。

 試合終了を告げる僅か1秒程度のレフリーの笛が鳴った瞬間、再び敵は友に戻り、その1時間後には肩を抱き合いながらアフターファンクションを楽しむ。各テーブルで、次々に今身にまとっているシャツを脱ぎ、交換し合う。ともに歌い、抱き合い、笑う。
 この日のYCACのそんな光景。余すところなく、これがラグビーだ。




U16同士。メールなどでいつまでも続く仲間。
 
キャプテン同士はホームステイでも絆を深めた。
コウタロウ
この3日間を振り返ると本当に貴重な体験をさせてもらったと改めて思います。学校での交流や、観光、ホームステイなど始まる前は不安ばかりでしたが、いざ話してみると同じ高校生という感じですぐに打ち解けることが出来ました。数日の間で国際的な理解が大分深まったように感じます。試合は不甲斐ない結果に終わってしまいましたが、国際的な交流を存分に楽しむことが出来ました。ありがとうございました。

ユキヒロ
一日目、僕はずっと書道のところにいてどう説明しようかと考えていたのですが、思いきって話してみると言葉が通じて自信が持てました。3グループとも楽しんでくれた様子で少し安心しました。その後ホームステイグループと初対面では、すぐに打ち解けることができて少し不安だった部分が消えました。鎌倉の観光でもタカキが案内してくれたのでスムーズにまわることができとても順調でした。家に着いてからも家族とすぐに打ち解け、夕食後は花火で楽しみました。

二日目、僕は1人で4人連れていたのですが無事送り届けることができました。試合観戦では具体的なイメージがわき、倒すべき相手へと認識を変えました。

試合当日、自分としてはDFは悪くなかったのですが、ATでもう少し積極的になれたと思います。終始楽しむ余裕があったのでメンタルとしてはよかったです。チームとしてもあと一歩で自信がつかめるものでした。別れの挨拶もしっかりできて、最高の思い出と双子の兄弟ができました。

かな
夢のような3日間でした。マルボロカレッジと交流試合をすることが決まってから、毎日頭の中はそのことでいっぱいでした。さらに今年は鎌倉観光やホームステイまで…!どんなふうにおもてなしをしたら喜んでくれるかな、日本の魅力が伝わるかな、と観光の計画を立てたり、家で食べる夜ご飯を家族と考えたり、わくわくしながら準備を進めました。

当日は、バスの乗り降りの手伝い、文化交流の通訳など、いくつかの仕事を任せていただきました。言語の壁を越えられるのか不安でしたが、英語での話は弾み、冗談にも笑って応えられるようになりました。

ホストファミリーのAlexHarryを始め、たくさんの素敵な友達が出来ました。異なる言語を話しているのに、ここまで仲良くなれるなんて、思ってもいませんでした。横高ラグビー部にとっても、もちろん私にとっても、かけがえのない経験になりました。本当にありがとうございました。

わか
Marlborough Collegeと交流できたこの3日間、本当に幸せでした。本当のところ、最初は「しっかり気持ちを伝えられるかなあ」という不安の方が、楽しみな気持ちより断然大きかったです。ですが、いざ交流が始まってみると、「相手の気持ちを理解したい」という気持ちはMarlborough Collegeの生徒も横須賀高校の生徒も同じで、とても温かい気持ちになりました。片言の英語でも、書き出してみれば英語科の先生に×をつけられそうな英文でも一生懸命耳を傾けてくれました。もちろん、Marlborough Collegeの生徒が話す時には私達も一生懸命お話を聞き、返答できるよう頑張りました。

今までの私は「じょうずな英語が話せないと会話にならないだろうなあ」、「じょうずな英語が話せないなら話さない方がいいだろうなあ」と思っていました。でも、今回の交流でその考えは180度変わりました。もちろん、英語をじょうずに話せるに越した事はありませんが、一番大切なのは「相手に気持ちを伝えたい」という思いから「英語がじょうずでなくても、完璧でなくても一生懸命話してみる」事だとわかりました。確かに言語の壁は高いです。しかし、意外と薄いかもしれません。勇気を出して言葉を発してみればその声と思いは届くと思いました。貴重な体験をさせて頂く機会を与えて下さった全ての方々に心から感謝しています。本当にありがとうございました!
 

 こんな至福の経験ができた幸運と、それをサポートしてくださった多くの方に心の底から感謝します。
 Budge、Mike-san、Julian、マルボロの全てのスタッフと選手たち、横須賀ラグビースクールの皆様、この話をくださった小林さん(早大元監督)、岩田会長、ラグビー協会長井さん、北嶋レフリー、高橋レフリー、九石校長、準備を手伝ってくださった多くの先生方、文化交流を手伝ってくれた多くの部活動の生徒たち、学食の皆さん、そしてホームステイを温かく受け入れてくださったご家族の皆様、応援してくださった保護者の皆様、その他たくさんの方に力を貸していただき、最高の思い出と素晴らしい経験ができました。本当にありがとうござました!!


ツアーをアレンジしたマイクさん。7月末に横高で実践英会話講義までやってくださいました。





相手の監督・バッジことアンソニー・パントニーはスコットランドで31キャップを持つ伝説の名フランカー!


母国からトゥイッケナム博物館の館長がわざわざ来日。

U16チームキャプテン。卓越したゲームコントロール力でした。

U18チームキャプテン。ゲーム中激しいのに、プライベートではユーモラス。バランスの取れた優れたリーダーでした。



(ちょっと裏話、苦労話?・・・)
 今回のツアーは、自由度が高いというか、行き当たりばったりというか・・・。ほとんどのことをこちらで決めることができ、またこちらで責任をもってサポートする必要がある企画でした。ツアーの詳細があまりに決まっておらず、決まっていたはずのこともツアーコーディネーターの連絡連携不十分で、各地でパニックが発生しました。

ゲーム後は、お互いのスタッフや関係者でタッチフット大会!

 菅平では年齢ルールによるトラブルでゲームが一時中断となり、京都、東京では、試合直前や試合中にルールをめぐる認識の不一致(U16 が12人制か15人制か、交代ルールなど)により、試合が1時間近くストップしてしまいました・・・。
 横須賀に関しては、ホームステイや文化交流、一緒に観光、ゲームを受け入れただけでなく、実はホテル探しと手配、レストラン探しと連絡調整、交通手段の選択と駅やバス停からの引率誘導どころか、対戦相手探しまでやりました(東京とYCACのU16の2試合は、一月前になって相手がキャンセルとなり、急きょこちらで試合相手を探してお願いしました)。

 試合についても、他の全会場で起きたトラブル同様、土壇場で「話が違うんだけど」ということが多々ありましたが、それは当日朝までの何十通ものツアーコーディネーターとのメールで解決しました(コミュニケーションは全て英語のみなので、電話だと早口でまくし立てられたら私には聞き取れず、丸め込まれます・・・)。

 約一カ月、本当に大量のエレルギーと時間を使い、ツアーをサポートしました。だからこそ、無事にゲームが終わり、アフターファンクションで合計100人以上の生徒たちやスタッフ、保護者の皆様が楽しそうに、幸せそうに、そして名残惜しそうにしていた光景を見て、本当に嬉しく、大きな充実感を覚えました。多くの方々の幸せそうな顔が、最高の報酬でした!

 では、菅平に行ってきます!


 

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